岸谷五朗さん、寺脇康文さん率いる“地球ゴージャス”の「星の大地に降る涙」という反戦をテーマに幕末を舞台とした作品を観ました目

キャストが有名な方たちなので、劇場は立ち見も出るほどの満員御礼。身体に響くほどの音楽と視覚に飛び込んでくる鮮やかな色彩、舞台から離れていても伝わってくる役者のエネルギー。感情のスイッチが入りっぱなしで、泣いたり笑ったり、怒ったり喜んだり、心が解き放たれた時間でしたクラッカー

幕が上がると目の前に幾重にも重ねられたクリアなグリーンの布が広がっています。そこに主人公が落下するという場面から始まります。ザボンという音からそれが海だと分かります。色彩心理ではグリーンは再生を意味し、その明るさの度合いや色みの強弱によっては生や死を表すことがあります。落下した海のグリーンは生か死か・・・

考えていると場面は変わり、岸辺に紫の着物を纏った若者流れついています。意識を戻した若者は記憶を無くしていました。自分は何者なのか、どこからきたのか何も思いだせません。流れ着いた島に住むタバラ族の人達とも言葉が通じません。紫は回復と情緒不安定の要素をもっています。まさに身体は回復に向かっていても心が不安定な状態そのものです。同じ頃もう一人流れ着く人がいます。その人もまた紫の着物を纏っています。そして若者同様記憶がありません。

やがて、傷も癒え言葉もわかるようになり、若者は「シャチ」という名をつけられタバラ族の人々と少しずつ心を通わせるようになります。愛する人も出来、音楽とダンスで心を通わせます。記憶は戻らずとも穏やかな日々。この頃になると若者は紫と深緑の上下の着物を纏っています。緑が深さを増す事で、調和、落ち着き、生を感じさせます。記憶の戻らない不安定さと知らない土地での暮らしに慣れてきた心の安定が紫と深緑に投影されています。もう一人の流れ着いた人は「トド」と名付けられ、シャチとトドは励ましあいながら共に暮らします。

しかしタバラ族が密かに作物を育てる「星の大地」に明治新政府軍と蝦夷共和国建設を目指す旧幕府軍の戦いの波が押し寄せます。
シャチとトドの記憶もよみがえります。シャチは旧幕府軍、トドは明治新政府軍の人間。共にタバラ族が大切にしている星の大地を狙う人間。シャチ、トド、タバラ族は敵同士だったのですガーン


記憶が戻り、何の迷いも無く刀を振りかざすシャチの衣装は白。
やがて、トドやタバラ族と刀を合わせながら戦う事の愚かさや、無意味さを悟ります。色彩心理で白はリセットであり、始まりでもあります。「白紙に戻す」という言葉がありますが、まさに全てを白紙に戻し、戦いのない世界を築きたいという汚れのないまっすぐなシャチの想いそのもののようです。実は政府の人間で星の大地を占領しようとしている側の人間だったトドは赤い上着です。赤は血の気の多い、闘争心の色。タバラ族のリーダーと三人の殺陣のシーンでは紫の照明が効果的に使われ、白の衣、赤の衣に紫の光が当たるたび彼らの心の葛藤が伝わってきて胸が苦しくなります。

衣装を担当した方はファッションに興味のある人なら誰もが知っているブランドに就き、その後独立した方です。役者が一幕ごとに成長するように衣装も成長できないかと考える強者です。
衣装と照明の効果で、衣装を変えてないのに変化して見え、色彩から表情を感じる。これほど印象に残る作品は初めてでした。
色彩を学ぶ前まではキャストやストーリーだけで楽しんでいた舞台が色彩も観ることでこんなにも心に深く響くものなのかと改めて色彩の素晴らしさを感じましたニコニコ

この事がきっかけで演劇鑑賞に再び目覚めてしまったようです目