昼食をとるときはネクタイを外した

少しでもストレスを取りたいからだ

だが、根本的な解決にはならなかった。

研修センターから帰って来て数日が立った時の事だ

私の上司に当たる開発部長が店舗に視察に見えた

報告の義務があると思い、人事部に呼ばれた事を説明した

返事は意外な物だった

「言われた以上に仕事ができれば良い」

本社での言葉と現場での言葉に温度差がある事が解った

もう一度、ネクタイの件は頼んでみる事にしようと思った

ただし、誰にも負けない仕事をしてやる

勢いでその日から仕事を積極的にし始めた。

(実はもう一つ理由があった。この開発部長がかっこ良く声が渋い

 それ以上の心理はご想像にお任せします)

店舗でのレジも慣れ声も出るようになった

掃除も研究結果、能率良く綺麗になるようになって来た

だが、精神的には限界が近づいて来ていた。








場所を少し移動して、少し落ち着いた私は電話を入れた

「もしもし、・・・駄目でした。はい、

 やれるとこまで人一倍仕事をしてがんばります。

 はい、ありがとうございました」

教官との短い会話だが勇気をもらう事が出来た。

缶コーヒーを飲み干し、私は次にきた電車に乗った。

自宅に着いたのは深夜だった。

妻や子供達はすでに寝ていた

私はシャワーを浴び布団に潜り込んだ。

次の日、私は仕事が休みと言う事で一日布団の中にいた

昨日の出来事を思い起こすだけで胃が痛む

そんな時は眠るに限る

明日から、人一倍仕事を頑張るしか無い。

翌朝、久しぶりの店舗だ

研修センターでの事を、教育の担当に相談とお願いをした

ネクタイを外して仕事をしたいと

結果は、許しては貰えなかった

ネクタイが気になる

人の目が気になる

私は、ウォークの補充やトイレ掃除などの

目立たない仕事を好むようになった。










私は本社を出て池袋駅に着いていた。

何の説明も出来ず帰って来てしまった

言葉にならない寂しさがあった

山手線で東京駅に向かった。

夕方のラッシュと重なってしまった

スーツ姿の男性と女性を見比べる。

心の底から女性に生まれていれば、嫌な思いをしなかったのかなと思う

女性に生まれていれば、男性の心を持っていたのかも。

そんな事を考えていた

どちらにしても、辛い思いをしたのだと思った。

東京駅からも在来線で帰らなければならない

東京駅を出て少しした駅で降りる事になった

気分が悪くなったのだ

考えすぎだろうか

ベンチに座り休憩を取った

勤め帰りの人達が足早に私の前を通り過ぎる

これからいったいどうなるのだろうか

私の前を通り過ぎる人が全てエリートに見える

そして私は落ちこぼれ

マイナスがマイナスを呼び涙がこぼれ始めた

駄目だ、とりあえず人気の少ない所に移動しよう。






池袋駅に着いたのは四時近くだった

私は急ぎ本社に向かった

人事部の個室に通されて待つ私は、ネクタイもせず自分のスタイルで行った

待つ間に緊張して来る

ドアが開き二人の男性が入って来た。

私の姿を見るなり言葉には出さなかったが顔が物を言った

「やっぱし、連絡の話は本当だ、困った」

そういう風に言っている様な気がした。

座るなり、一人の男性がふんぞり返りながら聞いて来た

「で、どうするの?」

短い一言、そして冷たさを感じる言葉

「がんばります」

それしか私は言葉が見つからなかった

「頑張るのは当たり前だよ、君に聞いているのはネクタイの事だよ」

出来ないとは言えない状況で聞かれた

暫く私は言葉を探した

うつむきながら少し目線を上に向けた

もう一人はメモを取っているようだ

下手な事は言えない

「ネクタイは何とか努力してみます」

これが精一杯の答え、少しでも灰色にしたかった

ネクタイが出来ないのは十分経験したのだから

「努力じゃ困るんだよ」

言葉を荒げて来た

「はい、がんばります」

このやり取りで終始した

二人は、部屋を出て行った

帰って良いのか解らない

何も言われなかったから

私は少し待ってから部屋を出てみた

誰も見向きもしない

帰っても良さそうだ

「失礼しました」と挨拶をして人事部を後にした。









三月になりましたね

早い、早すぎです。

まだ、「再就職」が46話なのに・・・

しかも、入社して一か月経っていないのに

話の進み具合が遅いのかな?

急いで書かないと、終わりが見えてこない?

あたしも、この作品についてはラストの話数が何話になるのか解ってないんですよね

比較的、長編物なのは間違いないんですが。

いつラストになるかな?