永田町異聞 -100ページ目
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マルタとサルコジとセシリア

 大統領選挙の当選直後、自家用ジェット機でマルタ島に飛び、クルージングを楽しんだサルコジ氏はなかなかの傑物かもしれない。

 フランス人としてはお世辞にもカッコいいとはいえない。身長165センチという小柄で、投げキッスする姿は、「イザベル」に情熱的に愛をささやくシャルル・アズナブール、嫌いなタバコを苦々しくすっている姿は「勝手にしゃがれ」のジャン・ポール・ベルモンドを思い起こさせる。

 「堂々とした優雅な立ち振る舞い」というフランス大統領のイメージはなく、劣等感と強気が入り混じった人間独特の毒気が感じられ、そこがフランスという国の転機を暗示しているように見える。

 ハンガリー移民2世でパリ生まれ。ワインを含めアルコール類は一切だめ。好物はチョコレート。ワインを飲まないフランス人なんてイメージじゃないけど、僕らが映画やテレビに洗脳されているだけだろう。

 中学、高校の成績は思わしくなく、エリートではない人物が名を挙げたのは1993年。
パリ西郊の高級住宅地、ヌイイ・シュル・セーヌの市長時代、爆発物を持った男が幼稚園に侵入、園児ら21人を人質に立てこもった。現場に駆けつけたサルコジ市長は、現金1億フラン(約21億円)を要求する容疑者と直接交渉の末、46時間後、次々と園児らを解放させた。
 

 その勇気と力強さのイメージが経済的に停滞した「フランス型モデル」を変えてくれるのでは、という期待感につながった、とひとまず考えておこう。

 さて、妻のセシリアさん、長男ルイ君と共に優雅なバカンスを楽しんだサルコジ氏。そして彼を必死で追いかけるパパラッチ。サルコジ氏は明らかに、マスメディアの「ぜいたく批判」を計算に入れた上で、選挙直後のバカンスを決行したと、僕は考えている。

 彼は2度結婚しており、現在の妻セシリアとは、不倫愛の末に結婚。1998年には息子ルイが生まれる。しかし、セシリアは2005年、支持者の実業家とニューヨークへ駆け落ち。翌年に復縁したものの、セシリアは夫と別行動を取り、ファーストレディとなることも拒絶するといわれていた。
 

 「女にもてない」という劣等感があったかどうかは知らないが、サルコジ氏が一度は逃げられたセシリア夫人をともない、正式に大統領になる前に、仲睦まじくしている姿をアピールしたい、という思いはあったはずだ。
 

 「初の女性大統領誕生か」と話題になったロワイヤル氏に勝ち、週35時間制の撤廃、企業の競争力増強などを謳って、強い仏大統領への道を歩むサルコジ氏に、現時点での「女性観」を聞いてみたい。

判官びいきにかける新日鉄

次々に各国の鉄鋼会社を買収し一代で世界の鉄鋼王に成り上がったインド人、ラクシュミ・ミタル氏。

「彼の次のターゲットはどこか」と世界の注目が集まる中、買収の脅威に備えた新日鉄首脳の動きを追うNHKスペシャルが先日、放映された。

ミタル氏とはいったい、どういう人物なのか。僕はそこに一番の関心を持って番組を見た。

しかし、関心の方向はすぐに変わった。

普通、戦う相手に弱みは見せないものだ。ところが、その番組で見た光景は弱みどころか、手の内をさらけ出しているようにさえ見えた。

新日鉄はなぜ、昨年秋からの密着取材をOKしたのだろう。

カメラはひたすら新日鉄の三村明夫社長を追った。世界に誇る新日鉄の技術力。ミタルがそれを欲しがらないはずはない。買収を仕掛けられることを前提に、特命チームが防衛策を練り、三村社長と協議を重ねた。

そして、世界の業界首脳が集まるホテルでの会議の場面。大きな目が鋭く光るミタル氏のテーブルに三村氏が近づいていく。理知的な優しい目をした細身の三村氏が、二言三言、声をかける。三村氏より年下のミタル氏はテーブルに座ったままうなずいた。

獰猛な蛇に呑み込まれないように緊張している三村氏の胸の鼓動が聞こえてくるようだった。

東大経済学部を首席で卒業し、順調にエリート街道を駆け上った三村氏。対して、ミタル氏はインドネシアの小さな電炉工場から出発し、トリニダードトバゴやカザフスタンの国営製鉄所の再建などいくつもの修羅場をくぐり抜け、ついには世界1位の鉄鋼会社アルセロールまでも「小が大を食う」買収で手中に収めたM&Aのツワモノである。

「新日鉄はミタルにやられるな」と感じさせるに十分なやりとりであった。

しかし、新日鉄側は周到な計算をしていたに違いない。三村社長の温厚で、優しく、隠し立てをしない実直な人柄を前面に出していたことである。この点で広報担当者とNHKディレクターとの間にどのような話がなされていたか、あるいはなかったのか、それはどちらでもいい。少なくとも新日鉄側は、三村社長を主役にすることで何かをアピールしたかったのではないだろうか。

僕にはこのように思える。この二人の人物により、ミタル氏を「錬金術で、あっという間に成り上がった」強欲な悪人、三村氏を「長年かかって良い技術、品質を追求してきた」善人とみる単純なイメージをある程度、視聴者の頭のどこかに植えつけたかった。

いまひとつは、日本人の心情に訴えたかった。40万人といわれる個人投資家を味方につけることが、最大の防衛策であるからだ。

個人投資家がこの番組を観てどう感じたか。そして、イザというとき、短期的な儲けに走るのか、それとも新日鉄の現経営陣に味方するのか。三角合併が解禁され、大買収時代が始まった今、国家・国民と企業、そして企業における株主と社員・経営陣の関係をどうとらえ、投資していくかを投資家自身がよく考えなければならない。

キング牧師像もメイド・イン・チャイナ

CNNの番組でキャスターを務めるルー・ダブス氏が最近、盛んに取り上げるのがマーティン・ルーサー・キング牧師の銅像に関する話である。

「私には夢がある」から始まる有名なスピーチで知られるキング牧師。人種差別撤廃と各人種の協和という高邁な理想を掲げ、非暴力主義の運動を貫いてノーベル平和賞を受賞。1968年、白人男性の凶弾に倒れ、帰らぬ人となった。

銅像はワシントンD.C.に建設予定のキング牧師記念館に設置される巨大な作品だが、ダブス氏が問題提起するのは、製作者が中国の彫刻家であり、材料が中国の花崗岩であることだ。重さ1000トンともいわれる大作だけに制作費も莫大なものだろう。

「アメリカのヒーローの銅像をなぜアメリカ人がアメリカの材料でつくらないのか」

キング牧師記念館は、リンカーン記念館などのあるナショナル・モールのど真ん中に建設される。

ダブス氏は番組の中で「米国の政治の中心地に中国の彫刻家が中国の花崗岩で創ることをどう思いますか」と視聴者に問いかける。

そしてウエブサイトでは「北京の真ん中に中国がキング牧師の銅像をたてるとしたら賛成しますか」と賛否の投票を募っている。

もともと中国人彫刻家に白羽の矢を立てたのは記念館建設の代表者であり、毛沢東像を制作したその実力を高く評価しているからである。「そんなに目くじらを立てなくても」と言いたくなるところだが、アメリカ人の国民感情としては理解できなくもない。

いまや世界中、中国製品だらけである。輸入大国、アメリカの対中貿易赤字は膨れ上がる一方。そのうえ音楽や映画の海賊版やブランドのニセモノも中国発で横行、最近では、中国産の小麦粉を原料とするペットフードを食べた犬やネコが相次いで死亡し、有機化合物メラミンが検出されるという事件まで起きている。

アメリカではキング牧師の誕生日にちなみ毎年1月の第3月曜日が「マーティン・ルーサー・キング・デー」として祝日になっている。個人のメモリアルデーが祝日になっているのは彼を含めて3人しかいない。

さて、アメリカの誇りであるキング牧師の像までが「メイド・イン・チャイナ」となることへの賛否の動向はいかに?

ダルフールと北京五輪

 今月6日に投開票が行われるフランス大統領選。そのテレビ討論で、北京五輪をボイコットするかどうかが対立点の一つとなった。左派のロワイヤルさんは、北京五輪のボイコットを検討すべきだと主張。右派のサルコジさんは「平和の祭典へのボイコットは良くない」と応酬した。
 なぜ、北京五輪ボイコット問題が持ち上がったのか。
 答えは、スーダン西部のダルフールにある。
 国連によると、ダルフールでは過去4年間にアラブ系民兵によって20万人の非アラブ系農民が殺害され、200万人以上が難民となっている。

 問題なのは、この民兵を支援しているのがスーダン政府であること。そして国連安保理で協議している制裁決議が、常任理事国・中国の反対で採択に至っていないことである。中国はスーダン産出の石油の大半を輸入しているのだ。

 産経新聞は中国のアフリカ進出に関連して以下のように報道している(一部省略)。

中国とアフリカ諸国42カ国首脳による中国・アフリカ協力フォーラム首脳会議が4日、北京で開幕、中国は約100億ドルの債務減免など破格の対アフリカ優遇措置を発表した。
会議には、ダルフール住民虐殺で国際的非難を受けているスーダンのバシル大統領、腐敗政権で知られるジンバブエのムガベ大統領、内戦が続いたアンゴラのサントス大統領らも参加。首脳らが一人ずつ進み出て胡主席に握手を求める様子は、中国皇帝に謁見する朝貢国を連想させ、中国がアフリカの新たな“宗主国”であることを国内外に見せつけた。

 ジェノサイドという言葉がある。一つの人種・民族の抹消行為を指す。ナチス・ドイツのユダヤ人虐殺や1994年春にルワンダで行われた虐殺が国連によりジェノサイドと認定されている。

 国連はダルフールの悲劇がジェノサイドに当たるという認定を避け、「人道に対する罪」として国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)に個人の処罰を付託。これを受け、このほどICCがスーダン政府の担当大臣と民兵組織の幹部に逮捕状を出した。

 ダルフール地方のカレイクという小さな村。ここを「ジンジャーウィード」が襲った時の様子をタイム誌がレポートしている。

 襲撃を受けた村人たちは、民兵に1ヵ所に集められ約1ヶ月間にわたり、毎日2~3人が処刑された。数十人の女性がレイプされた。15歳になる少女もレイプの犠牲者の一人だった。彼女の証言によると、 5人の男たちから1週間以上、毎日、強姦され続け、終わると、手と足を縛って逃げられないようにされた。10日ほどして彼らはどこかに立ち去ったという。

 グーグルは衛星写真グーグルアースで、ダルフール紛争の状況を伝える試みを始めている。パソコン画面に映し出される衛星写真地図上のマークをクリックすると現地の写真が映し出されたり、生存者らの証言、最新データなどが得られる仕組みだ。

 アフリカは日本にとって遠い大陸である。しかし、そこにも僕たちと同じ人間が生きている。僕たちは無力だが、インターネットで監視することぐらいは続けたい。

チャベスはロビンフッドか?

 ブッシュを「悪魔」と呼び、自らを「ロビン・フッド」と称す。
ベネズエラの53代大統領チャベスは思ったことをストレートに言う政治家である。
2006年、国連総会の演説での激しいブッシュ批判はテレビで放映され全世界を驚かせた。

 世界の市場経済を一極化し国境を越えて国際金融資本や多国籍企業が富をむさぼるグローバル資本主義に抵抗し、反米主義を貫いている。
 

 その勇ましい男が5月1日、またまた動いた。
米国のシェブロン、エクソンモービルなどいわゆる国際石油資本(メジャー)が進めている、オリノコ川流域における石油資源開発事業の支配権を取り上げ、国有化するというのだ。 石油各社はしかたなく移譲命令に従う姿勢だが、世界の常識から言えば納得がいくはずもない。

 しかしこの出来事、今の世界経済の潮流に潜む大きな矛盾をさらけ出したといえないだろうか。
 

 中国、インドなどが豊富で安い人件費を武器に世界企業の工場となり、あっという間に新興経済発展国として台頭。その結果、エネルギー需要が急速に高まって原油など資源価格が上昇、中東やロシアなど豊富な資源を有する国々に莫大なお金が流れ込んだ。ベネズエラもそうしたオイルリッチ国の一つだ。

 こうした国は先進国の多くの企業を呼び込んで資源開発などに投資させ、資源輸出で得た豊富な資金でその開発会社を強引に買収したり、支配権を取り上げてまんまと自国へ先進技術の移転をはかっている。
企業の成長至上主義が世界に競合を広げ、新興国を巻き込んでますます無理な成長競争に進むという悪循環に陥っていないだろうか。

 永遠に続く成長などありえないのだ。

 技術が唯一の資源である日本が、お金のために技術を「切り売り」していったあとに残るものは「さらに先端技術をつくり続ける国」か、それとも働かない若者がはびこる「老いた国」なのか。

 チャベス大統領は貧困の撲滅を政治スローガンに掲げているが、貧困層が減少したというより、「独裁色」を増しているという見方が強い。
カストロを師と仰ぎ、ブラジルなどラテンアメリカはもちろんロシア、ベラルーシ、中国、イランへ接近。ロシアからはスホーイ30戦闘機24機を購入する予定だ。

 アメリカがイラクの泥沼に足をとられ、身動きできないスキに、今とばかりに独裁者の支配する国々が蠢いている。

団十郎を招いたガルニエ

「無間地獄から生還」した市川団十郎はパリ・オペラ座(ガルニエ)でお家芸の「勧進帳を」演じた。

白血病を克服しての大舞台。ルドルフ・ヌレエフが数々の名演を繰り広げたネオ・バロック様式の劇場は、三色の幕が開くと同時に、東西の伝統美が融合した異次元空間となった。

「ゆったりした動きと激しい感情表現。本当にすばらしい」

大成功に終わったこの公演を企画したのはオペラ座バレエ団のブリジット・ルフェーブル芸術監督だ。興奮気味に語るこの芸術家には何が見えていたのだろうか。
役者の派手な衣装や顔の隈取り、まるで浮世絵を見るような光景、不思議な節回しから紡ぎだされるポエムのような台詞。月並みに言えばそんなところだろう。
しかし、芸術家はもっと哲学的だ。

「伝統様式の中に、今この瞬間にしかない美しさが融合している。それはバレエも同じだよ」。

日々のレッスンによって習得される技や、様式、規則・・・そうしたものを守りながらも、生きた人間からその瞬間瞬間に立ちのぼる説明のつかない美しさこそが舞台芸術の本質ではなかろうか。

フランスと日本の美意識は互いに共鳴しあってきた。19世紀半ばのジャポニズムのきっかけとなった浮世絵はゴッホやモネ、ロートレックなど多くの芸術家に影響を与え、ヌーベルバーグといわれる革新的な映画作品は日本人を魅了した。

おりしも、フランスは大統領選挙の真っ只中である。万葉集を読み、日本美術を収集し、大相撲のファンでもあるシラク大統領が引退するのは残念だが、サルコジ氏、ロワイヤル氏のいずれがその座に就こうとも、決して日本との文化交流を衰退させないでいただきたい。

スラヴァの魂は生き続ける

その姿を見ているだけで広く、大きく、幸せな気分になり、目頭が熱くなる。ロストロポービッチ(スラヴァ)さんはそんな人だった。日本が好きで、小澤征爾さんと日本各地のお寺などをまわり無料で演奏した。

阪神大震災の直後に、小澤・N饗と競演したコンサートは思い出深い。ドボルザークのチェロコンチェルトを弾き終え、アンコールの拍手を穏やかな顔で制し、遠くを見つめるように客席に語りかけた。「私のお祈りとしてこれを弾かせていただきたいのです。演奏が終わっても、どうか拍手をしないでください。このホールから私たちの祈りが届くことでしょう」。

ゆっくりと、バッハの無伴奏チェロ組曲BWV1008が会場にしみわたるように、流れ始めた。バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲

スラヴァの訃報は世界の音楽ファンだけではなく、「人間のすばらしさ」を信じるすべての人を悲しませたことだろう。オペラの女王、ヴィシネフスカヤとともに人生を歩み、サハロフ博士やソルジェニーツインを擁護し、芸術や言論の自由、そして何よりも人間そのものを守るために闘ってきた人だった。
僕がテレビではなく自分の目でスラヴァを見たのは2005年5月のことだ。大学時代、同じゼミだった松本巧君が震災後から続けてきた「1000人のチェロ」コンサート。マエストロは神戸ポートアイランドのワールド記念ホールに世界から集まった1000人のチェリストを包み込むようにタクトを振った。

1000の弦の響きが一つになり、魂の昇華する大きな音の流れになった。客席の私たちをゆっくり見渡していたスラヴァのあの慈愛に満ちた表情が忘れられない。

イスラム女性のストレス

「主人在宅ストレス症候群」という病気をご存知だろうか。定年後など、ご亭主が自宅に毎日ゴロゴロしていると、奥さんにストレスがたまり、胃腸や循環器等に異常をきたすという症状である。この病気を発見した医学博士、黒川順夫先生にお会いしたとき、「今度、アルジャジーラが取材にくるというんですよ」と仰っていた。中東にもやはり同じような症状で悩む女性がいるということだろう。

アルジャジーラといえば中東のお金持ち国、カタールのドーハに本社がある衛星テレビ局で、アルカイダやイラク戦争の報道などで日本でもすでにおなじみだ。
さて、悩める女性に話を戻そう。一夫多妻のイスラム社会において、ヴェールをまとったご婦人の姿は、常に抑圧され忍従するイメージがつきまとう。しかし、実際の姿はどうだろう。テレビの映像や新聞写真で強調される「イスラム女性らしさ」は、「らしくない部分」をカットしただけの断片情報ではないのか。高校世界史の先生である金岡新さんがネット上に公開されている「世界史講義録」にこんなくだりがある。 

エジプトには女性専用のストリップ劇場があるらしい。中では男性ストリッパーが演技をするわけです。で、彼女はそこへ勉強のためにいってみた。こういうときにヴェールはよいのです。ストリップ劇場にはいるところを見られたら恥ずかしいはずですが、ヴェールをかぶっているから誰かわからない。だから、全然恥ずかしくない。
 中にはいると女性だけだから、みんなヴェールをはずす。すると素顔は結構化粧をしているんだって。ガウンみたいな黒い服も脱ぐと下には、やはりきれいな服を身につけている。みんなパワー炸裂でぎゃーぎゃー騒ぎながら楽しんで、また、素知らぬ顔でヴェールをまとって家路につく、ということらしい。

やはり、普通の女性なのです。このグローバルな時代に、イスラムの女性だけがひたすら忍従でき、どんなストレスにも耐えられる強靭さがあるとは思えない。やはり発散もしたいし、不満も大いに感じることだろう。

黒川先生は言う。「女性は話を聞いてもらうだけで満足するんです。よく話を聞いてあげることが大事です」。

奥さんの話をろくに聞かず、自分の考えばかりを押し付けている横暴で鈍感なご主人、早く気がつかないと、大変なことになりますぞ・・・。

エリツィンさんの死

今、世界で一番ベンツが売れる都市はモスクワだという。独裁色を強めるプーチンさんのもと、豊富な資源を背景に急速な経済発展を続けるロシア。その初代大統領、エリツィンさんが亡くなった。 

共産党政権、ソ連を解体し、自由と民主主義の時代への扉を開いたといわれるエリツィンさんだが、その後継者として彼が指名したプーチンさんがひた走っている道が、自由と民主主義へ向かっているかというと、なにやら心もとない。

 モスニュース・コムのウエブサイトにゴルバチョフさんのインタビュー(2006年7月)が掲載されている。ゴルバチョフさんは、大韓航空機を戦闘機で撃墜した軍事大国・ソ連において、ペレストロイカ(改革)とグラスノスチ(情報公開)を進め、冷戦を終結させてノーベル平和賞を受賞した人物で、西側では「ゴルビー」という愛称で親しまれた。クーデター未遂事件をきっかけにロシア内における求心力を失い、エリツィンさん率いるロシアがソ連を脱退してソ連が崩壊したために退陣した。下記(筆者訳)は、ブッシュ・アメリカとプーチン・ロシアに対するゴルビーの見方として興味深い。

かつてのソ連指導者(ゴルバチョフ)はブッシュ政権の二人の重要人物を厳しく批判した。チェイニー副大統領とラムズフェルド国防長官だ。「彼らは軍事的な利益だけを守ろうとするハゲタカであり浅薄な人物だ」またゴルバチョフはしばしばロシア政府へも厳しい言葉を浴びせかける。しかし、独裁主義的なやり方を非難されるプーチンにはしばしばアドバイスをする。
「プーチンは独裁的な手法でこれからもやっていくだろう。彼は危ないぎりぎりのところを歩いているんだ。しかし、ロシアは民主主義国家になっていくだろう。私はプーチンという人を知っている。彼は道徳家なのだ」彼はロシア民主主義の夢をあきらめたわけではない。二人のお孫さんが自由の中で生きることを望んでいる。

「二人の孫が平和で自由な民主主義国家に生きてくれることが望みだ」「しかし、そのためには諸問題に対するあまりに多くの答えを見つけ出さなくてはならず、実のところ、そういうことを想像するのは難しいな」

 反対勢力への弾圧を強めるプーチン政権には、国内で抗議デモが起こり、亡命した政商がクーデターを口にするなど一般大衆からの人気とは裏腹に民主主義や自由に逆行したイメージがつきまとう。また米国との間も、チェコ、ポーランドへ米国が配備しようとしているミサイル防衛システムをめぐって冷戦時代を思い出させるような対立が起こりつつある。

 軍事とともに経済大国化して、またかつてのような独裁的、強権的で秘密主義の国にならないようにプーチンさんにお願いしたい。ゴルバチョフさんのお孫さんが自由に生きられる本当の意味で豊かなロシア社会をつくりあげてもらいたいものだ。

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