お風呂を上がって浴室のドアを開けたら
入れ替わりに猫がするりと忍び込んできた
すんすん鼻を鳴らしながら
中へと進んで行ったと思ったら
ガラス戸の前に座りこみ
何かをじっと見ている
するっ
するっと落ちてくる
ああそうか
水滴を見ているのだ
ちょいっ
ちょいっと手を伸ばして
ガラスの向こう側を落ちてくる
ひとしずく
ひとしずくを捕まえようとする
私たちが普段気にも留めないような
そんな些細なものにも
君は目を丸くして
耳をそばだてて
好奇心をあらわにする
生まれてからうちに来るまでの間に
君は何か危ない目にあって
そのせいで
普通の猫とは少し違ったところがあるらしい
そんな君がうちに来て
二年がたった
子どものような
大人のような
猫のような
猫でないような
そんな不思議な君が来て
