〜ウィアラの酒場〜
「なるほど…日本という違う世界から来た、と」
「そうなんです。赤い魔法陣に触れたら光りだして、気がついたときには既にあの船着き場に…」
「現状は帰る方法は無いわね。そもそも、赤い魔法陣の書かれた紙はないんでしょう?」
「はい…」
「だとすると、その魔法陣が何か解析できないから、当分は帰れないわよ」
「えっ…」
新太は愕然とする。そう、八代新太は異世界である「エルネア王国」に飛ばされたのだ。
「とりあえず、旅人用の部屋が2階にあるから使って。どのみちしばらくはいるんでしょう?」「そうですね。すみません、ご厚意に甘えさせて頂きます」
「そんなかしこまらなくていいのよ。そうね、とりあえずあとは明日話しましょう」
そう言って立ち上がったのはこの酒場のマスターのウィアラさんだ。
「はい…」
そう言って新太も立ち上がり、案内された部屋で寝ることになった。
♪♫♬♪〜
下では音楽が流れ、賑やかな声が聞こえる。
「はぁ…どうすればいいんだよ…とりあえず明日考えるか」
新太は眠りについた。
192年4日
朝
「おはようございます」
「あら、おはよう。えっと…ごめんね、名前聞くの忘れちゃってたね」
「ああ、すみません。名乗らずに部屋を使ってしまって」
「いいのいいの。それより、お名前聞いてもいい?」
「八代新太って言います」
「えーと、ヤツシロ・アラタくんで合ってる?」
「はい」
すると、ウィアラは不思議そうな顔をした。
「不思議な名前ね。ヤツシロって名前聞いたことないよ」
「え!?ちょ、ちょっと待ってください!もしかして、名前のあとに名字が来るんですか?」
新太は驚きを隠せない。
「そうよ?あれ、もしかして違う?」
「そしたら、アラタ・ヤツシロになります」
「そっか、アラタ君ね。分かったわ。よろしくね」
「はい。よろしくお願いします」
「さて、朝ごはん作るから食べてね。その後エルネア王国について説明するわ」
「あ、ありがとうございます」
「ごちそうさまでした。とても美味しかったです」
「そう?なら良かった。さて、エルネア王国についてだよね」
「はい」
ウィアラはウインクすると、向かいの席に座った。
「まず、重要なのはこのエルネア王国では1年は30日よ。それと、平均寿命もとある出来事で30歳程度なの」
「えっ、えええええぇぇ!?」
「まあ、異世界からなら驚くのも無理はないかもね。アラタ君の世界がどうだったかは分からないけれど」
ウィアラは続ける。
「その代わり、人は魔力を持ってるわ。その魔力を使って過去に起こった過ちを鎮めたの」
「その過去の過ちとは…?」
「それは、私よりも昨日ミッションで行ったミアラのほうが詳しいから今度聞いてみるといいわ。それと、この国では旅人は1年間しか滞在できないのはミアラから聞いたよね?」
「はい」
「その費用については?」
「確か5,000ビーが必要だとか」
「なら改めて言う必要は無さそうね。ちなみに、国民になる気はある?」
「まあ、ここまで来てしまった以上、そうするしか無さそうですし、そうします」
「そう、なら良かったわ。1年はあっという間だからね。頑張ってね!」
「はい!しばらくはお世話になります」
「いいわよ気にしなくて。国民になれるよう頑張ってお金を稼いでね」
「はい!」
その数日後
「アラタ君、国民帰化おめでとう!」
「ありがとうございます、ウィアラさん」
アラタはついに、帰化する費用を払い、国民になった。ちなみにもう夏である。
「少ししか経ってないはずなのに、短く感じます」
「仕方ないわよ。しばらくしたら慣れるわ」
「そうですね。それと、色々お世話になりました」
「そうね、少し寂しいけど会えないわけではないから、いつでも酒場に来てね!」
「はい!」
こうして、アラタ・ヤツシロはエルネア国民てしての一歩を踏み出したのであった。
第3話に続く
あとがき
少し時系列が違ったり、チュートリアル部分を省きましたが、無事にアラタ君はエルネア国民として生活していけそうですね!
これからもこの物語の応援をお願いします!