私はこの夏、浅草へ実際に出向き、ゴミの実態調査を行い、その結果を反映した工作物を作成した。工作物の画像は以下に掲げる。



 こだわったポイントは2つある。

 まず、画像右下にある「雷」と書かれたオブジェクトについてだ。これは浅草観光の目玉の1つと言える雷門を抽象化した粘土細工である。雷門が街中を侵食する表現は、まさしく観光地が地元を蝕んでしまうオーバーツーリズムの姿を反映している。

 次に、工作物内に散らばっているゴミについてだ。冒頭で述べたように、私は実地調査を通してゴミのデータを収集していた。工作物内のゴミは、そのデータを分類したのちに簡単な比にして、それに基づいて個数を決めて配置したものとなっており、リアルなオーバーツーリズムの実態を描けるように意識した。


 この活動を通して想いを巡らせたことは、「観光地ゆえのジレンマ」である。観光地には観光に関連する業を営む方が集積する。その方々は観光客がいなければ観光業で生計を立てることは難しいであろう。一方で、観光客が集まりすぎると、オーバーツーリズムが発生し、工作物に映し出したような悲しい状況に陥ることは十分にありえ、これがさらに進行すれば観光地自体の地盤沈下に直結することもありえない話ではない。

 この課題を解決するにあたって重要なことは、ゴミを回収する装置の設置や、ポイ捨てに対する罰則の強化、守らなければならない観光地のコアとなる部分のゾーニングによる保護などであろう。

 もちろんこれらの対策にはさまざまな障壁があることは事実だが、インバウンド6,000万人時代を生きるものとして、我々はこの課題に真っ向から向かい合っていかねばならないと、切に思った次第である。


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※工作物中に用いた製品について、その製造者に対する批判の意図は一切ない。