ついに島にたどり着いた。島に入れるのは小舟だけだ。船酔いとの戦いに勝利をおさめ浜に降り立つ。
何かの視線を感じ、目で遠くを見ると向こうの方で一匹の鹿がこちらをじっと見ていた。

鹿も私にとっては特別な動物だ。何故か惹かれるものがある。
昔よく奈良公園に連れて行ってもらったからだろうか…
ディズニーの『バンビ』も好きだったな…

そんなことを考えながらカメラを構えてみた
その鹿は動じることなく真っ黒い2つの瞳でじっと私を見続けていた

レンズを通しての彼女とのにらめっこが続いた

私が5回シャッターを切ったところで飽きたのか彼女は私に背を向け森の奥に消えていった

来てそうそう鹿に出会えたのはとても嬉しいことだった

なぜかというと星野さんの作品で、朽ちたトーテムポールが自然に還っていく様と鹿が一匹写ってる写真がとても好きだったからだ

そう‼その光景が頭から離れなくて、この土地に来た
もうトーテムポールは朽ちて自然に還ってしまったのか、それともまだ残っているのか自分の目で確かめたかった

自然が人間の文明を飲み込んでいく光景
宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』や『もののけ姫』で描かれている自然の力強さを見てみたかった

胸の高鳴りを落ちつかせて森に入る準備をする
森はじっとたたずんでいてどっしりと構えていた