念願かなって、やっと浅田真央さんのアイスショーを見に行くことができた。
『Everlasting33』。
私はこれが初めて見る、浅田真央さんのアイスショーだ。
いやぁ、びっくりした。
劇場型、とか生オーケストラ、とかこれまで浅田真央さんが使ったことがない名曲をたくさんやる、とかの前情報だけでも、自分の好物がいっぱいで、かなり期待していたつもりだったけど甘かった。
予想をはるかに超えていた。
こんなところまで来てたのか。
凄い！！
美しくて、楽しくて、おしゃれで、見ごたえがあって、様々な音楽が、バレエや、クラシック、ミュージカルや、映画音楽、それから今の人の楽曲も使われていたけど統一感があるのだった。
全てが上質で品があった。
総合演出 浅田真央。凄いプロデュース能力。
AERAdotに沢田聡子さんというライターさんが--舞台芸術として確立--と書いていらしたが、まさしくその通りだと思う。
私がこれまで見てきたアイスショーとは全く違うものだった。
舞台芸術…と言ってもはるか高みにのぼってしまったりはしない。
むしろ、老若男女、小さな子供から高齢者まで、に愛されそうな舞台だ。
その現役時代の時と同じように。
劇場型ならではのホリゾント幕に映し出される絵画（なんとも素敵だった）が曲のイメージを高める。
衣装も素晴らしい。本当に上品。ショーの衣装というより舞台衣装に近い。
そして音楽は全曲生オーケストラだ。
とても贅沢。合わせるのは大変だったろうなぁと思う。
メンバーの皆さんも皆全日本選手権でその名を印象付けるような活躍をした人たちなのだろう。
レベルが半端ではない。
私でも何人かはその名前を憶えている。
現役を引退と聞いて、「惜しいなぁ、もったいないなぁ」とファンから惜しまれた人たちではないだろうか。
こんな素敵な活躍の場があったというのは素晴らしい。
そしてなんといっても浅田真央さんの圧巻のパフォーマンス力だ。
引退当時からの進化がすさまじいんですけど。
今回はエアリアル（空中パフォーマンス）、タップダンス、スケート靴をぬいで陸上ダンス、
そしてフィギュアスケートをみせてくれた。
その昔、わたしはファンタジー・オン・アイスで空中パフォーマンスを見たことがある。
たしかにその技術力はすごい、とは思ったが、正直、違和感も感じたものだった。
あくまでもショーのための「だしもの」というか・・・スミマセン。
ちゃんと覚えていないけど音楽もそんな感じの音楽だったはず。
それとは全く違う。
まず曲が「タイスの瞑想曲」である。
この美しい曲に合わせて見せてくれる浅田真央さんの一つ一つの動き、ポーズが本当に美しく、初めはちょっとハラハラしたけど、最後にはその幻想的な世界にすっかり魅せられた。
かわいらしいタップダンス、陸のダンスも良かったが、やはり、フィギュアスケートの演技が素晴らしかった。
終盤に近くのビアソラの「オブリヴィオン」と「リベルタンゴ」（衣装の赤いドレスがめっちゃ素敵だった）も私はタンゴ好きなので、なんて素敵なフィギュアスケートタンゴなんだと思ったけど、そのあとの「ボレロ」は本当に凄かった。
それまでの演技も素晴らしかったが演技者としての余裕のようなものがあった。
この「ボレロ」はそんな余裕をかなぐり捨てて生身の浅田真央が迫ってくるようなそんな演技だった。
いま、こんなプログラム演技を見せてくれるスケーターはちょっと現役選手には見つけられない。
わたしは、この「ボレロ」がもう一度見たくて配信チケットまで買ってしまった。
これが、今回の公演のみのプログラムだとしたら、本当にもったいない、と思う。
もっともっと何度でも見たいし、もっと多くの人に見てほしいと思う演技だった。
そう、残念なのはこのショーが東京だけで１５日間の公演で終わってしまうことだ。
そんなこと言ったってこんな会場を見つけるだけでも大変だとは思う。
でも、もっと多くの人に見てほしいと、ただの一観客に過ぎないのに思ったのだった。
