もう数か月前になるけどNHKで「悪女について」のドラマを放送すると聞いて、とても懐かしい気持ちになった。

若い頃に見た「悪女について」というドラマがすごく面白かった、という記憶がある。

Wikipediaによると1978年の放送らしい。

これは当時、「週刊朝日」に連載されていて同時進行でドラマが放送されていたんだと思う。

何故、覚えているかというと、最終回の放送が待ちきれなくて、先に手に入る週刊誌を買ったから。

オーバーだけど人生において、私が週刊誌なるものを買ったのは後にも先にもこの時だけである。

それも、駅のホームのキオスク(今もあるのかな?)で。

当時の私にとってこれはかなり思い切った行動でありました。

それくらい結末が知りたかったのね。

で、その結末を読んだ感想もうっすらと思い出せるけど「なぁんだ・・・」みたいな、何だか肩透かしをくらったような、そんな感想だった。

 

今回放送されたNHKのドラマ「悪女について」も見てみた。

時代が現代に置き換えられていて、なおかつ、短縮されていて、正直あまり面白くなかった。

昔、あんなに夢中になったのはどうしてなんだろう?と思い、原作を読んでみたのだ。

 

やっぱり、面白かった。

著者が作り出したこのヒロインが、いったい、ありえないぐらい正体がつかめず、面白い。

良くわからなくていいのだ、と思う。

それが著者のネライかもしれない。

当時の社会風刺もふんだんに盛り込まれている。

あの頃、結末を読んで何かハッキリした答えが知りたくて「なんか。変なの・・・」と思った若かりし自分。

でも、いまは「ふーん、こういうこともあるかも・・・」と思えるぐらいに年を取った。

ちなみに今回のNHKドラマの結末の解釈は私は違うんじゃないかなぁと思っている。

 

これを現代に置き換えるのはムリがあったなぁ。

魅力が全然なくなってしまった。

これは、あの当時のエネルギーがあって、良いことも悪いこともごちゃ混ぜになってたような昭和の日本じゃなくちゃ、生きてこないような気がする。

今とでは社会の価値観がぜんぜんちがうもの。

ヒロインをキラキラとゴージャスに輝かせていた大邸宅も豪華で超お高い宝石も、今の時代は人々はそこまで価値をみとめていないように思われる。

なんといっても、女性自体がかなり変わってきていて、ヒロイン周りの女性たちが違うなぁと感じる。

これを現代に置き換えてなおかつ怪物のような魅力あるヒロインにするのはかなりの力技が必要だな、と思う。

 

 

Wikipediaで見る1978年ドラマのキャストの豪華さ!!。

今、こんな大物俳優さんたちをそろえることができるドラマはあるだろうか。

NHKの大河ドラマは最近は新進気鋭の若手俳優を起用する傾向があるし、それはそれで私は好きですが。

 

でも、わたしが、覚えているのはヒロインを演じていた劇団「四季」の女優だったという影万里江さんだけ。

ハスキーな声も何となく思い出せる。若くして亡くなってしまったようで他の作品で見た記憶がない。

NHKドラマでヒロインを演じたのは田中みな実さん。外見的にはヒロインに良くあっていたのでは?と思う。

私が耳が遠くなったのか?と思うほど声が小さくて、あー、ヒロインに近づけてたんだな、と本を読んだ今ならわかる。演技も工夫されていた。ただ、なにか凄みみたいなものが今一つ欠けていたように思える。

2012年に沢尻エリカ主演でドラマ化されているようだ。この人もなかなか似合っているかもしれない。凄みはあるけどちょっと華やかすぎるかなぁ。

1978年版のドラマがとってもみたい。

 

わたしは本でもドラマでも、”悪女もの”が好きだが原点はこれかな、と思った。

 

 

影万里江さん。この写真だけでもヒロイン富小路公子にピッタリ。