「また雑魚寝でいい?ベッドでもいーけど」

2回目ともなると俺ももうそんなに意識はしない………はずもなく。

「いや悪いから下で寝るよ」

「一緒寝る?」

「はっ!?」

「2回戦する?」

「しねーよ!」


俺が優位に立てるのは最中だけみたい。

面白いようにニノにからかわれて1人で意識しちゃってる。


「じゃクーラー寒かったら適当に温度上げて」

「…ん、おやすみ」


パチッて音と共に部屋が暗くなる。

けどカーテンの外の灯りが完全にここを暗闇にはしてくれなくて。


ベッドの上にいるニノはどっちを向いているんだろう。

ほんとに眠いのかな。

もう今にも寝ちゃうのかな。



……俺、もっとニノと話したいのかな。




「……ね」

寝てたらそれはそれで構わない、とりあえず小さな声で話し掛けてみた。


寝返りをうつ、シーツの擦れる音がした。


「なに?眠れないの?」

あ。ニノの声って落ち着くんだ。

多分どんな喧騒の中にいても俺はニノの声に気付くと思う。


「………ニノは…その、男にされるのって抵抗ないの?」

昼間じゃ絶対聞けない。

酒の勢いで聞くにはなんだか失礼な気がする。


なんで?とかいつから?とか

興味本位なわけじゃないしニノに何があったかなんて知りたいわけじゃない。


ニノはしばらく黙ったままだったけど

「………ふっ」

突然小さく笑った。


「なに、されてみたい?」

「ばっ、ちげぇよそんなことが言いたいんじゃなくて」

「気持ちいーよ。今度やったげるよ」

「ちょ、絶対やだよマジでやめろよ」

「なぁんでよ。別に減るもんじゃないじゃん」


なんで?とかいつから?とか

知りたいわけじゃない……けど。



「ね、潤くん」

「なんだよしねぇよ」

「じゃなくて」

ひらひらとベッドからニノの手が見えて。


「こっちで一緒に寝よ」

「…ぇなん」

「ふははっ、もう変なことしないってば。今日のところは」

「なんで変な含み持たせんだよ」

「はははっ」

そういうの、誰にでも言ってんの?

女でも、男でも。


「ねぇ来てよ」


言い慣れてんのやり慣れてんの?

こんなことで狼狽えちゃって俺の方がダサいの?


「潤くんと寝たい」


その声でそんなこと。




俺はニノに逆らえないことばかりだ。