出た。


出た出た出た。


「や、やー…ちょっとそれは」

「なんで?俺とすんのやだ?」

「そういうわけじゃ」

「じゃどうして来たの」

「どうしてって」

「俺は潤くんとまたしたいから呼んだの」


ダイレクトな要求ってすごい破壊力。

断る俺がおかしいみたいな感じになる。


「いやいやそもそもさ、俺ら男だし」

「でもしたじゃん、問題なかったじゃん」

「問題ない!?」

「なんかある?」


だって俺らってなに?友達?いやそれすら未満って感じだけど。

俺のことどう思ってんの?とか俺のこと好きなの?とか。

そんなのどんだけ自意識過剰な質問だよって感じだし。

じゃあ俺はニノのこと好きなの?って聞かれたら即答できないし。

愛がなきゃそんなことしちゃダメって前提ならこの前したのは何だったの?俺矛盾してね?って話しだし。


ぐるぐる考えて一向に返事をしない俺をニノはじっと見据えてる。


自分じゃどうしようも出来ない他人の気持ちや行動に、真正面からぶつからないで

いつも相手に合わせたり逃げたり身を引いてきた。

だけど今日は逃げ場がない。


「あの、えと」

「俺は好きだよ」

「へっ!?」

「潤くんのえっ ち」


………ど、


…どうゆう………



「しよ」


汗でベタベタの身体に触られるのはものすごくいやなんだけど。


「俺何事もあんま自分から誘わないよ?」

体温の低いニノの手は肌に触れると気持ちいい。


「に、」

「なんでだろね」


俺自身を好きなわけじゃないことは分かった。

けどそんなに経験値のない俺のそれを好きと言われるのはそれは男として嬉しいのは事実なわけで。


「何事もあんま固執しないんだよ?」


ちゅ、と軽く唇が重なる。




これは───逃げられない。