飲みにくいワインは殆どニノが飲んでくれて、俺はニノんちにあったビールとか甘いチューハイなんかを数本空けた。

「これあんま美味しくなくない?ゴメンね無理に飲ませちゃって」
「なんで?いいよ美味いよ嬉しいよ?」

わー…なんか今女のコにこういう甘いチューハイ的なカクテル的なもの飲ませながら
その子が作ってくれた手料理褒めて喜ばせてるとこ想像しちゃった。

「…や、ならいいんだけど…」
「来年も期待してる」
ほらそれも。
さらっと次を約束する感じ。まじやらしい。

 「………てかニノ酒強いね」
「そお?潤くん酔った?」
「うんまぁ…楽しい感じする」
「はははっ全然楽しそうじゃないけど」

今日もニノは俺がぽつりと話すことに簡単に言葉を返すだけ。
これが気を許してくれてるってことみたいだけど…。
まぁいいか俺も自然体でいていいって言ってくれてんだし。

あ。もう0時過ぎてんじゃん。
男同士だし泊まってっていい前提?
帰るなら駅まで15分位かかりそうだから終電ギリだな。

「暇だね」


タクシーだとウチまでどれくらいするんだろ。
バイト代出る前だし結構キツいな…
「………する?」


「……………………は?」

最初何言ったか聞き逃した。
深夜料金とかセコく計算してたから───

「セ ッ クス。する?」

高校受験も大学受験も。
古い記憶を辿れば小2でおねしょしたときの朝も。
今より脳みそがフル回転して対処法やら解決策を求めたことってない。

「は…えー………と?なに?それ」
「………っふ、ふははっ。え、知らない?知らないでこの歳まで生きてきたの?妖精さん?」
「いやっ、知ってる!知ってるよそりゃ!ちげーよそうじゃなくて」

ニノは暫く爆笑してた。

「知ってた?わーよかった。なんかすげぇ奇跡の人に会っちゃったかと思った」
「そうじゃなくて何?え?どういうこと?」
「そういうこと」
「ちょっと俺が知ってるそれって全然この状況と俺らの関係にそぐわないんだけど同じなのかな」
「同じだと思うよ」
ニノは笑いすぎて滲んだ涙を拭ってる。

「待って待ってじゃあニノのそれは暇つぶしであって男でも女でも関係なくて恋愛感情も関係………なさそうだったなそれは」
「失礼だななんか」
とんでもない提案をしてきたのにあっけらかんとするこの男は何を考えているのか…

「………ね。しない?」

否定一択のはずなのに考えが纏まらないのは俺が酔ってるから?