ニノは気まぐれに連絡をくれた。
明日サークル棟で蕎麦打つよーとか。
今カラオケいるんだけど帰っていいかなとか。
なんてことない誘いや会話が楽しかった。
特に俺より長く友達付き合いをしているであろう人たちを面白おかしく蔑ろにする発言は
俺に心を許してくれているようで嬉しかった。
俺は正式にこのサークルに入ったわけでもないし断ったわけでもないからとてもふわふわした存在で。
それでもあの飲み会にいた人たちは構内で俺を見掛けると声をかけてくれたりしつこく勧誘してきたり、
その距離感がちょうど良くて何の活動にも参加せずにふわふわし続けていた。
バイト中、休憩に入るとまたニノからLINEが来ていた。
『来週俺の誕生日会ってやつやるんだけど来れる?
ていうかこういうのサプライズでやって欲しかったんだけどなんで主役自ら誘ってんの(笑)』
あー…もう6月、か。ハタチじゃん。
『もちろん行くよ。詳細決まったら教えて』
なんかプレゼントとか要るのかな。まぁいいか。
そんなもん男に用意されても引くか。
『まじ?いつも来ないから断られると思ってた』
『誕生日はさすがに行くよ』
『あざーす』
誕生日って…ニノの場合すごそう。
派手なパーティとかしちゃうのかな。アメリカのドラマみたいなやつ。
どっかの店借り切って部屋中に風船とか浮いてて立食みたいな感じで。ありえなくないなリア充ってやつは。
………あれかな。
あの子は来るのかな。
ニノのこと好きそうだった子。
もう付き合ってたりして。それとも誕生日に告白するとか?
ニノああいう子が好きなのかな。
ああいう人気者はどんな子を選ぶんだろ。
…………俺には関係ないけど。