結局下道を走り漸く見たことある景色になってきた。
おめでとうLINEの返信は、スルーしても問題なさそうな奴はスルーして大体終わった。

問題なくないのは…有耶無耶になってたけどまだ疑惑のこの人。
なんて返事しよう。
なんっっにもなかったかのように『おめでとう✨』とか書いてるけどアナタこの前俺の智と何してたのって言う。

…イヤでもそれはそれ、これはこれ。か。

『ありがとう✨今年もよろしく』
………うーん…素っ気ない…かな。
でも浮気(かもしれない)相手に媚びるような返事してもしょうがないし!
もしかして俺の事陰で笑ってるかもしれないし!

……………。

………。

…いや…冷静に考えなくても相葉くんはそんなことする人間じゃないよな…
あの人疑うなんてどうかしてるな。
後でちゃんと説明してもらおう。うん。


「お疲れ様です、やっと着きました……」
マネも相当疲れた声してる。
もう23時半じゃん。
「お疲れ。帰ったらちゃんと休んで」
労いの言葉もそこそこに、荷物を掴むとすぐにバンを降りた。

カードキーをかざすのも、自動ドアが開くのも、エレベーターが降りてくるそんな些細な時間がもどかしくてしょうがない。
意味は無いのだろうけど行先階を連打して、閉まるボタンを連打して。

ああもう智。
智智智。

早く会いたい。
この数日ずっと会いたかった。

マンションのワンフロア買い取って全部ぶち抜いてワンルームにして、
エレベーター降りたらすぐ玄関になるようにリフォームしておけば良かった。

降りてからの廊下すら今日は長く感じて。

「智!」
ただいまを言うより先に、その名前を呼んだ。