「で、どーすんの」
撮影の並びのままダラダラ廊下を歩く。
何メートルか先を智と翔くん、相葉くんが歩いていて。

「何が」
「誕生日。なんかしてもらうんでしょ?」
きっとニノは自分がまだ俺のプレゼントを用意してないことを悟られたくないんだな。
智とどんな風に過ごすかなんて興味ないくせにそんなことを訊いてきた。

「いやー…何も聞いてないけど…俺から催促すんのもおかしくない?」
「大野さんサプライズとかするんだ?意外」
楽屋のドアを開けて…座る間もなくニノは着替え始めた。

「するのかねぇ…準備してるとは思えないけど」
俺は簡単にメイクを落として。
「だってもう何日後?してるでしょさすがに。えっと今日が27だから…」
「へっ?」
鏡越しにニノと目が合う。
「いや『へっ?』じゃなくて」
「ちょっと待って今日何曜日?」
「木曜」
「何日だって?」
「27」
「待って待ってじゃ俺の誕生日何曜?」
「えーと木金…日曜?」

やべぇ!
日曜って日曜ってそういうこと!?
そういうことだったのか智!?
曜日と日付の感覚が全くなかった!
いやだってちょっと待って収録で俺の誕生日に触れてもらったの先週?だよな?
そろそろ誕生日ってのは感覚としてあるけど何曜とかわかんないっつーの!

楽屋を見渡すとすでに智の姿はない。

「…智くんならさっき相葉くんと出てったけど」
翔くんが肩を竦めて「あーあ」って顔してる。
え、なんか知ってる?

「なに、なんかやっちゃった?」
すでに衣装を脱ぎ始めたニノはそう訊きながらも
絶対ここで引き止められるのは嫌だと言うように私服に手を伸ばすことをやめなかった。


や、でもさ。
でもおかしくね?
俺仕事だよ?
そこは理解してくれていいよね?
そんな付き合いたてのカップルでもあるまいし別にそこまで当日に拘ることなくない?

大体アレよ?
日曜の打ち合わせ、ほぼアンタのパートの話しだからね?
アンタがいかにステージで輝くか、映えるか。
何万てファンを虜にできるか。
アンタの存在がどれだけ特別なものか。

それを詰める打ち合わせなんだけど。

なのに理由も聞かずに連絡してこないなんて。



───俺の誕生日なら尚更おかしくね?