「翔くんはりきりすぎ」
潤はうつ伏せになって顔だけこっちに向けるとむくれながらそう言った。
「だってすーごいこの連休楽しみにしてたのにほぼ1日潰れちゃったしさ〜、潤可愛いしさ〜」
「…んだよそれ」
さっきの痴態を思い出したのか真っ赤になりながらもぶぅたれてる。
「さっじゃあメシ頼も!その間にシャワー浴びて〜、メシ食ったらまた」
「はりきりすぎだっての」
潤は俺の顔面に枕を食らわすとさっさとベッドを下りて携帯を取った。
「何系?」
「んー…肉?今夜から明日の為にも体力つけないと」
「翔くんはサラダだけで」
「オイ!」
潤は楽しそうにオーダーを終えると 先にシャワー浴びていいよ、と勧めてくれた。
「すごい汗かいてたし」
「そりゃ張り切ってましたから」
「もー!」
今日1日ニノになりきろうと必死だったし、あれこれ脳みそ回転させてたからこんな自然体で話せることがすごく楽しかった。
やっぱ潤といると素の自分が出せるし安心感半端ない。
幸せを噛み締めながら洗面所の鏡に映った自分を見た。
…うん、俺だ。
やっぱこれだよこの顔だよ。
38年間慣れ親しんだこの顔だよ。
ぺたぺたと頬を触ったり右側、左側と色んな角度で自分を見る。
…まぁ、ニノの肌も確かに触り心地は良かっ…
「ん?」
よく見えないけど耳の下あたり。
髪の毛に隠れてるけど…赤くなってる?
「うぉっ」
顔ばっか見てて気づかなかったけど胸とか二の腕の内側とか背中とか、あちこちキスマークがついてる。
「え?潤?いつの間に…」
───な、わけない。
さっきの最中に潤がつけるわけがない。
そしてこれが何を意味してるかなんてどんな鈍い俺でも分かる。
やっぱり、やっぱりやっぱりやっぱり!
あいつら俺らの身体で遊んだな!
「潤!お前どっか身体変なとこ───」
慌てて寝室に戻って潤の顔を両手で挟む。
「…………翔くんは?」
「………ぇ」
するりと、潤の手があちこちに散りばめられたキスマークを伝って…それから背中に回ると腰に下りてくる。
「ココ、違和感なぁい?」
今年1番、ゾッとした。