やばいやばいやばい。
なんか相葉くんが上になって倒れ込んできてる。

ダメじゃない?これはアウトじゃない?
ニノの身体だけど俺は俺だし!
俺にだって大事な人いるし!
「あい、じゃないまーくん!」
両手で相葉くんの肩を押し戻して距離を取る。

「…なに?だめ?」
そんな悲しそうな顔しないでよ。
わかる、わかるよそんなの断られたらめっちゃショックだよ。
でもダメでしょ。
いや俺がっていうよりニノも相葉くんのそんな姿俺に見せたくないでしょ。

「や、だめじゃなくて。その、なんだ」
どうしよどうしよ。なんも思い浮かばない。
「!ふ、風呂!風呂入りたい!」
「…さっき断ったくせに。……シャワーじゃなくて風呂なのね?」
あんまり喋るとボロが出そうでとにかくぶんぶんと頭を縦に振った。

渋々相葉くんは 簡単に掃除してくるって俺から離れた。

「…あっぶっな」
身体を起こしてこれからのことを考える。
時間稼ぎしてるだけじゃ意味は無い。
風呂の数十分を逃げてもまだ夜は長い。
明日も休みだ。
体調悪いフリする?イヤそれは心配かけるだけだし申し訳ない。
誰か急な来客とか。
ないな。それはない。


───潤。は、今頃『俺』と何してるんだろう。

最後のLINEでは「久しぶりに家でゆっくり」なんて大人ぶった余裕な会話してたけど
本音は「家でやることなんて1つ!」ってテンション上がってたのに…
え、ていうか潤もその気だったら今頃やべぇじゃん。
俺に成りすましてる奴、絶対面白がってやるじゃん!

俺の貞操もだけど潤!潤が潤が潤が!
「今お湯張ってるからすぐ入れるよー」
「わっもう!?」
「…入りたいんでしょ?」
相葉くんも不機嫌になっちゃう!

「あ、風呂沸くまで筋トレしようかな〜…なんて」
「いいね!カズバランスボールやんないよね?やってみなよ取ってくるよ」

相葉くんがまた部屋を離れた隙にLINEを開く。
まだ『俺』の既読は付いてないから意味はないのだろうけれど。

───潤に変なことするなよ

そして潤には。

───相葉さんちで飲まない?今すぐ来なよ


頼むから今日ばかりは俺よりメンバー飲みを優先してくれ、『俺』を誘ってこっちに来てくれ。

お前を守る為なんだよ。