昼前に出てったはずなのに家に着くともう夕方になっていた。

結局手をつけなかったコンビニ袋をテーブルに置いてソファに腰を沈める。

「どうする?もう飲み始める?」
「へっ?」
千葉の海に辿り着けなかったことなんてほんとにどうでもいいみたいで相葉くんは俺の横に詰めて座った。

飲んで酔ったらどうなるの!?

「それとも風呂入っちゃう?」
なんの準備それ!?
その先に何があんのよ!

相葉くんの言葉にいちいち身構えてしまう。
「ちょ、とりあえず休も。まーくん運転疲れたでしょ」
半分残ってるペットボトルのお茶を渡すと無言でそれを受け取った。

「…なんかさ、ほんと今日変じゃない?」
「どこが?いつもこんな感じじゃ」
言い終わる前に相葉くんの胸に抱き寄せられて。

「…やっとぎゅーできた」

………多分。わかんないけど。
俺の身体だったらこんな風にはならないと思う。
ニノのサイズだから相葉くんの細い身体にもすっぽり収まっちゃって。

「小さくなった?くふふ」
「……筋トレの成果?痩せたのかな」
知らないけど。

これは俺も『カズ』として抱きしめた方がいいのかな。
『その先』は断固拒むつもりだけどこれくらいならいいかな。
相葉くんもきっとニノと過ごせるこの連休を楽しみにしてただろうし。

「………ん」
背中に手をまわすと相葉くんが小さく笑った声がして。

「すき」

ニノに聞かせてあげたかったな。

そう思った。