冷蔵庫からビールを2本取り出してリビングに向かうと雅紀が笑いを堪えてる。

「…なに?どしたの」
視線の先にはテレビの中のリーダーとニノ。

「今ね、ふたりがちゅーしようとしてたんだよ。さすがにしなかったけどそのあとのにのの顔!」
「へぇ?」

物欲しそうにしちゃってかぁわいいの、って雅紀はビールを受け取った。

「楽屋で続きしてるからいんじゃね?」
「だね、くふふ」
軽く乾杯して一気にビールを流し込む。
炭酸が痛いくらいでおっさんみたいに「くぅー」って声が出た。
「潤くんNHKって何の略かわかる?」
「日本放送協会だろ?」
「ちがうよ!つまんない答え言わないの!」

そんなこと言われても日本放送協会じゃん。
それ以外なんだってんだよ。

「あのね、NHKって二の腕を引っ張ってキスの略なんだって」
「何それ。…あぁだから2人がしようとしてたのか。訳わかんないなイマドキの言葉は」

「おれはAKKがいいなぁ」
「…ハイ?なにそれ作った?」

雅紀は楽しそうにぴょこんと目の前に正座すると顔をこれでもかってくらい近づけて。
「なんだとおもう?やってみて」
「はぁぁ?」

バカじゃねぇのって言おうとしたのに雅紀はもう目を閉じてスタンバってるから。

「………」
ちゅっ。

「ひゃひゃひゃなにそれ!?」
「え…(A)あぐらを(K)かいて(K)キスだけど」
「そんなわけないじゃん!潤くんがあぐらかいてるのをおれがキュンてするとおもうー!?」 
「わっかんねぇよそんなん!」

雅紀はまた仕切り直すように目を閉じて唇を突き出した。

「………」
ちゅっ。

「んん?」
「えっと…(A)顎を(K)くいっとして(K)キス」
「それ顎クイってやつだから」
「わかんないって」

そう言ってるのに雅紀はまた目を閉じる。

「………」
ちゅっ。

「あ、それもイイかも。ふふっ」
「(A)頭を(K)コツンってしてから(K)キス、です!」
「いいねいいね、ちかづいてきたよ!」
「…もういいよ正解は?」
「えぇ~クイズ楽しいじゃん」

無邪気に笑ってた雅紀がふっと視線を落として。
次の瞬間、俺と目が合った表情はオスのそれで。

「…ぁ」

頭を引き寄せられて、そのまま顔を両手で固定されて貪るように唇が重なる。

「っ、…ぁまさ」

身体の芯が疼いて脳が痺れてく。
熱いのに鳥肌が立って……

「はいっ、これが正解ね!」
「…え、っは…え?」

急に雅紀が離れて力が抜けた身体は背もたれに沈んだ。

「(A)頭を(K)抱えられて(K)キス、でした!」

潤くんがよくドラマで女優さんにやってるの観ててうらやましかったんだよねー。
雅紀は何事もなかったかのようにそう言ってビールの続きを飲み始める。

「…雅紀」
雅紀が振り返ると同時に二の腕を引っ張って、そのまま後頭部に手をやって抱き寄せる。

「ちょ、じゅん」
拒もうとする唇を塞いでソファに押し倒した。
「煽っといてヒドイよ雅紀」
「…クイズしただけだよ」

左の口角あげちゃって…こうなるの計算してたくせに。
まんまと乗っかるしかなくなるよ。

「俺はHDKが好きなの」
「…なぁにそれ」

嫌がる素振りもないからシャツのボタンをひとつずつ外してく。

「今から実践するよ」
「…えっちなことでしょ」
「ははっ」

ハダカで抱き合ってキス、こんな幸せ99.9
%他にないでしょ。



☆おしまい☆


今さらのニノさん大賞&急な短編&お返事もしてないのにすみません!
なんっかモデルズ書きたくなりましてえへ(・∀・)
お粗末さまでしたm(_ _)m