君は僕の創った世界を壊そうとするから。




「・・・和也」

やめて。
そんな風に呼ばないで。

「俺」

君は。
君は僕の創られた世界を。


「!」
突然テーブルの上で携帯がけたたましく震えた。

「・・・あ・・・」

ちら、って潤くんはそっちを見て。

「・・・いいよ、出なよ」
どうにも読み取れない表情でそう言い放つ。

俺は動けなくて・・・いつまでも鳴り続けるバイブをどうしようと見つめた。

「出なって。・・・急用かもしれないし」

恐る恐る手に取ると案の定画面に出た名前は翔さんだった。

「・・・もしもし」
『あっカズ?実は今もう東京なんだけどさぁ、今からそっち行っていい?なんかさぁ』

喋り続ける翔さんの声は遠くて、目の前の潤くんは異常なほど近くて。


―――ここに来たら・・・潤くんがいるよ?

そのときアナタはどうするの?
どう思う?
ただのメンバーだから大丈夫?

いや、ダメだ。
来ちゃダメ。

違う。
潤くんを帰さなきゃ。
優先順位間違ってるよ俺。

『カズ?』
「っあ、あぁゴメン・・・今から?」

ちらって潤くんを見ると顔色ひとつ変えない。

『都合悪い?あっ今家にいないの?』
「いや・・・家だよ」
鼓動が早くなって、苦しい。

『じゃあ何?』

どうする?
潤くん何かアクションして。
帰るよ、のサインとか。
翔くんに来てもらいなよ、のサインとか。
俺のことはいいから、のサインとか。

『・・・誰か来てるの?』

どくん、って心臓が大きく跳ね上がった。


「・・・あ・・・、あの」


―――僕は。
僕の創った世界を。