雅紀が、俺のことを・・・本当に?
聞き間違い?
まさか。
でも。
でも・・・だとしたら・・・。
「あ、遅いよー松潤。そろそろ始まるよ」
楽屋に戻るとリーダーがジャケットを羽織るところだった。
「もうお腹痛いの治った?」
翔が心配そうに近づいて来る。
瞬間、雅紀が振り返った。
「トイレに・・・いたの?」
ニノはあちゃー、という素振りで顔を伏せた。
「うん、もう大丈夫・・・」
俺は雅紀の問いには答えられず、翔にだけ返事をした。
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「待って潤くん!」
収録も終わり駐車場を歩いていると、車の陰から雅紀が出てきた。
「ま・・・」
「ちょっと・・・話があるんだけど・・・」
俺はとっさに雅紀に車に乗るよう言った。
「翔に見られるとややこしいから。適当に流すよ?」
内心すげぇ緊張してるくせに、無理にクールぶって車を出した。
どれくらい走っただろう。
街灯が雅紀の顔を時折浮かび上がらせ、その美しさにどきっとする。
「・・・あのね潤くん・・・今日・・・俺らの話聞いちゃった?」
ずっと考えてた。
知らない振りをしていくか。
そうすればきっと何の変化もなく、俺らはうまくやっていける。
俺は口を開いた。
「・・・ごめん・・・聞いちゃった」
「あのっ。あのね潤くん違うんだ、違うの」
雅紀は焦って身を乗り出す。
俺は黙って車を大きな公園の路肩に停めた。
「いや・・・違うわけでもないんだけど・・・」
車内に沈黙が流れる。
「あの、本当に全然潤くんと翔ちゃんの仲を壊したいんじゃなくて。
ほんとに二人は似合ってるし俺がどう思ってるかなんて潤くんは気にしないで
ちゃんと翔ちゃんをすきでいてほしいと思ってるし」
両手指をいじり、それを見ながら雅紀が話しを続ける。
「・・・うん・・・」
俺はなんて言えばいいんだろう?
「でも・・・」
雅紀は手を止めると遠慮がちに俺を見た。
「すぐにあきらめるのは無理だから・・・もう少し、すきでいさせてね」
ああ。
ああ。
許されるのなら今すぐ雅紀を抱きしめたい。
最低なのはわかってる。
無理して作るその笑顔にキスをして、抱きしめて、連れ去ってしまいたい。
「雅紀」
言ってはいけない言葉がこぼれるのを、俺は止められなかった。
「俺・・・雅紀が好きだ・・・・・・」