あの日さ、潤はガッチガチだったよね。

コンサート終わり、ホテルの部屋で飲んでてさ。


飲んでるのにぜんぜんリラックスしないから変だなーとは思ってたけど。

まさか潤に告白されるなんてびっくりしたよ。


「気持ち悪いよな?ごめんな。でも黙ってられなくて・・・」

申し訳なさそうにそう言って。


いつもの自信にあふれた潤はそこにないなくて、なんだか泣き出しそうで

このまま帰したらそのまま消えてしまいそうで・・・。


「松潤。びっくりしたけど・・・その、うれしいよ?ありがとう・・・でもあの」

「わかってる。俺はそのままの雅紀が好きなんだ。普通の、・・・普通の女性が好きな、

そのままの雅紀が好きなんだ」


頭がまっしろになって、なぜか俺は潤を抱きしめてた。

受け入れることも拒むこともできなくて、正直抱きしめれば潤からなにか言ってくれるかなって思いもあったのかもしれない。


「ごめん、聞いてくれてありがとう」

なんか、離したくなかった。

このままずっと抱きしめていたかった。

離したら、このまま潤は俺を忘れようとするんじゃないかって。


「ま、雅紀??」


キスしてた。

苦しくなるまでキスして、ゆっくり、離した。


潤はわけがわからないという顔をして、その大きな目でじっと俺を見てる。


「ぅわっご、ごめん松潤!てんぱった!!」

我に返って立ち上がると勢いあまって椅子にぶつかり、派手にコケた。

「雅紀!ぇえっ!?」

思わず大笑いする潤。

俺も床に寝た状態のまま、めちゃくちゃわらった。


「そういうとこだよ、俺、大好きだよ」

笑いながら、途切れ途切れに潤は言う。



キスした俺は、なんだかよくばりになったんだ。


もっと、潤といっしょに笑っていたい。

もっと、潤といろんなことがしたい。

もっと、キスしたい。

もっと、抱き合いたい。


━─━─━─━─━─


今、俺の横ですやすや寝てる潤。

あの日から俺は潤にもっとすきになってもらえてるかな?


髪を撫でてみる。

「潤・・・すき」

ちいさく、言う。


このまま朝がこなきゃいいのにな。


潤の寝顔はかわいくて。ちっさいときから変わんなくて。

おもわずちゅー。

そしたら潤の口元がむにーっとわらった。


「雅紀、そんなに俺が好きか!」

「おきてたの!?」


いつもの自信まんまんの潤。

あの日と全然ちがう。

「よしよし、もっかいしよっ♪」

「えぇー!?明日はやいって・・・!」



よくばりなのは、潤もいっしょだな。