君との思い出一生忘れない。

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~私だけの小説宝庫~

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俺は

チームメイトの前に立ち、

ゆっくりと頭を下げる。

 

俺が悪かったんだ。

全部…全部…

俺が…

 

俺が自分勝手に動いて

周りを見ずに

ムチャぶりトスで

周りを振り回したこと、

俺が悪かったんだ。

 

もう…

許してもらうなんて

ないと思うけど。

 

 

 

 

―――第24話「和解と握手。」

 

 

あのコート上の王様、

影山飛雄が

チームメイトに頭を下げている。

 

そんな姿を見せられて、

チームの空気は

一気に凍る。

 

「あ、あの…影山先輩…?」

橋本が心配そうに

駆け寄ってくるが、

 

俺は、

自分の言いたかった言葉を

放つ。

 

「すまん…俺が悪かった…。」

 

周りの

視線が痛い。

でもそんな痛さなんかより、

俺が孤立してた時間の方が

チクチクと痛んでいたのだ。

 

「…俺がお前らを尊重せずに、自分勝手に動いてた。」

 

「…俺がお前らを無視して、罵声を浴びせた。」

 

「…俺がお前らにムチャぶりな要求をして、打ちにくいトスを上げてた。」

 

全部…

全部…

俺が悪かった…。

 

「今更…許してくれなんて言わねぇ!…ただ、俺が本当に悪かったって…すまん…。」

 

下を俯く俺は

深く深く

頭を下げる。

 

こんな俺の姿を、

カッコ悪いと思いたきゃ思え。

ダサいと思うなら思え。

俺はどうせカッコ悪い男だ。

 

ムチャぶりで自分勝手で

そんなやつが

カッコいいわけがない。

 

もう、今更なんだよ。

もう許してもらわなくてもいい、

もう一度スタメンに戻れなくてもいい、

 

ただ、

お前らに謝りたくて…

全部俺が悪かったって。

 

「…影山、頭を上げろよ…。」

金田一が一言そう放つ。

 

だが、

俺はここで頭を上げられる

立場じゃねぇ。

 

「影山…もういいから…。」

 

よくねぇんだよ…。

 

「その…俺も悪かったよ…。」

 

…?

金田一が…謝った…?

 

俺は頭を上げて

金田一を見ると、

金田一は俺から目をそらして、

 

「ずっとお前の事を許してあげられてなかった。」

と言う。

 

「もうそれは、過去なんだよ、過去の話なんだよ。」

 

…過去の話…?

 

「あれからたいぶ日が経った、お前も変わっただろう?」

 

「嫌な雑用をこなしたり、チームの声掛けを必死にやったり、後輩たちに指導出来たり。」

 

金田一は、

ここのところの俺の変化に

気づいてくれてた…?

俺の必死さを…

認めてくれて…た…?

 

「俺も、勝手に、コート上の王様、だなんて異名付けてチームに居心地悪くしてすまん…。」

 

俺は、

金田一達が、

お前らもお前らで

反省するところがあって、

俺に謝ってきたことに

鼻の頭が熱くなる。

 

まさか…

 

逆に謝られるなんて…

思いもしなかった。

 

「なぁ…影山…これからも、北川第一のメンバーでいてくれよ。またトスをあげてくれよ。」

 

金田一は、

そう言い、真直ぐ、

俺に手を伸ばす。

 

俺は伸ばされた手を

力強く握った。

 

いいのか…

また俺が、

このチームでトスを上げても…

いいのか…?

 

まるで夢かの様に、

俺は金田一や国見、

チームと和解することが出来た。

 

あぁ…

金田一達は、

俺の事を許してくれてたんだ。

 

 

 

――――

 

 

その夜、

ショーヨーは嬉しそうに

 

「良かったな!トビオ!お友達と仲直り出来て!」

 

「あぁ。」

 

それも、全部、

お前のお陰なんだよ、

ショーヨー。

 

すると、

ショーヨーはいつも以上に

俺に甘えてきたのだ。

 

「?何だよ、ショーヨー…今日はいつも以上に積極的じゃね?」

 

「だって!っっっトビオ、色んな人と仲良くして…中々俺に構ってくれない!!!」

ショーヨーは顔を真っ赤にして

頬を膨らませて

拗ねたように俺にくっついてくる。

 

「約束したじゃん!構ってあげられない分、夜めいいっぱい相手してくれるって!」

ショーヨーはそう言うと

俺にぎゅ~~っと抱きついてくる。

 

あぁ、

そんな焼きもちを焼いてくれる、

ショーヨーが

可愛くてたまんねぇんだよな…。

 

俺はショーヨーのその

小さい唇に

自分の唇を近づけて

優しくくっつける。

 

ショーヨーを見ると、

顔を真っ赤にしちゃって、

その瞳は

うるうるっと潤んでいて、

 

「ねぇ、トビオ…俺を…優しく抱いて…。」

 

そういうもんだから、

俺もそんな色っぽい声を姿のショーヨーに

抑えきれず、

 

さっきよりも激しいキスを

ショーヨーに向ける。

 

絡まるお前の舌が熱くて、

密着するお前の体にじりじりと体温が上がっていくのに、

俺の頭がほわほわと甘い雰囲気になる。

 

お前のお陰で、

チームと和解できた。

 

お前の存在が

愛おしい。

 

お前を放したくない。

この俺の手で、

お前を俺のものにしたい。

俺だけのものにしたい。

この手で。

 

 

橋本が

試合でピンチサーバーとして

活躍したあの日から、

俺は1年達に

囲まれるようになった。

 

毎日のように

部活となると、

俺の周りに1年達が集まってきて、

サーブやらトスやら、

俺のバレーのコツを知りたく

囲むのであった。

 

コート上の王様

と呼ばれるようになって、

仲間に見放され、

スタメンを外され、

陰口を沢山言われるようになって、

 

孤立して

誰からも必要とされてなかった俺が、

 

今はこんなに

人から

頼りにされてることに、

俺は胸いっぱい温かくなるのだった。

 

 

―――第23話「けじめの一歩。」

 

 

 

「影山、次音楽室だぜ!一緒に行こうぜ!」

 

「影山くん、ここの問題間違ってるよ!」

 

「影山先輩!レシーブするとき、綺麗に上がらなくて…」

 

教室にいても、

体育館にいても、

 

今まで考えられなかった。

 

こんなにたくさんの人が

俺に駆け寄ってきてくれるなんて。

 

「トビオ、最近楽しそうだよな!」

 

昼休み、

今日も俺はショーヨーと

昼飯を食う。

 

「あぁ。」

 

「トビオ表情良くなったよね!」

 

「…そうか。」

 

俺が変われた切っ掛け、

それはショーヨーにあると思う。

ショーヨーの存在が

俺を良い方向に導いてくれたんだと。

 

「なぁ、ショーヨー…」

 

「ん…?」

 

ショーヨーは

今日も美味しそうに、

俺の弁当の玉子焼きを頬張る。

 

「ありが…」

 

ありがとう。

そう伝えようとしたとき、

 

「お!いたいた!影山~~!!」

委員長だ。

 

「お前いっつも一人で昼飯食うしさ!俺らと一緒に食おうぜ!」

 

「あぁ。」

 

今日もショーヨーに

言いそびれちゃったな。

 

…ありがとうって。

 

ショーヨーには

俺しかいない。

 

俺が他の人に振り向くと、

嬉しそうな反面、

ちょっと寂しそうな顔をするんだ。

 

俺はショーヨーの髪をなでる。

 

「ごめんな…今日の夜、めいいっぱいお前の相手するから。」

 

俺がお前の髪をなでると、

お前はいつも嬉しそうに

気持ちよさそうに、

満面の笑みを浮かべてくれるんだ。

 

「うん!!」

って。

 

俺は、

そんなショーヨーの

パッと心を明るくさせてくれるような

笑顔が好きなんだ。

 

「なぁ、トビオ」

 

俺は委員長とそのグループの皆と

中庭のベンチに座って

残りの昼飯を食らう。

 

「お前のバレーの大会、近いだろ?」

 

「あぁ。」

 

「俺らでお前の応援行こうと思っててさ。」

 

「あぁ、俺試合出るか分かんねーけどな。」

 

この時点で

スタメン外れてるんだ。

試合に出られることは

早々ないだろう、

俺も思ってるけど、

友達…と言っていいのだろうか、

委員長たちが俺の試合の応援に行きたいと言ってくれて、

俺は気持ちが晴れるほど嬉しかった。

 

「よっしゃ!!んじゃ、雑用頑張る影山でも応援するか!!」

 

「おい!ざけんな!」

 

その冗談も、

委員長なりの優しさだと思うと、

とても気持ちが温かくなるのだ。

 

教室では、

こんな風に

友達に助けられて、

 

部活では、

後輩たちが俺の周りを囲んで、

 

あぁ、

俺はもう昔の俺とは

変われたかな…って

もう自分自身を許しつつあった。

 

後は、

金田一と国見と…

和解することだが…

すまん。

が言えそうで言えない。

 

今日こそは…

と思っても、

あいつらから許してもらえない気がして、

恐怖で足が前に進まない。

 

別にいいんだ。

許してもらえなくても。

 

ただ、

 

俺が自己中で

周りも見ずに

自分勝手に動いて

チームを悪くしたことを

謝りたい。

 

俺が悪かった、

って。

 

今日こそは…。

 

 

 

――――

 

 

今日も部活が始まる。

 

「影山先輩!今日は俺にトスのコツを…」

 

俺を頼ってくれるのはありがたいが、

今日はそれよりも

優先しなくちゃいけねぇことがある…。

 

「…影山先輩…?」

 

俺は、

部活の準備を始めるチームメイトの

前に立ち、

 

ゆっくりと

頭を下げるのだった。

 

もちろん、

その中に、

金田一や国見もいる。

 

これで…

これで…

許してもらえるとは思わないけど…

 

…けじめのつもりだ。

 

俺が…

俺が全部悪かったんだ。

 

自分勝手に、

自己中なトスで

周りを振り回した、

この俺が悪かったんだ。

 

 

 

こっちのメンバーチェンジみたいだ。

 

「トビオかな?」

 

俺はわけねーだろ。

真面にコートに立って

練習なんかしてねーし、

今更。

 

「メンバーチェンジだ」

 

 

ホイッスルと一緒に

監督に呼ばれた名前で、

俺は目が丸くなる。

 

「え…。」

 

 

 

―――第22話「勝利。」

 

 

そう、

名前を呼ばれたのは、

俺なんかじゃなかったんだけど、

 

「橋本!!!」

 

そいつは、

この前俺にサーブを教えて欲しいとつっかかってきた、

あの橋本だった。

 

どうやら、

ピンサーで入るみたいだが、

お前、そんな威力のあるサーブ、

打てねぇだろ…

大丈夫か…

って俺は心配になる。

 

周りのチームメイトも、

ここで橋本を入れることに

疑問を抱いているみたいだ。

 

橋本がコートに入って、

皆とハイタッチをする。

 

すると、

俺の方を一瞬だけチラッとしたかのように目が合う。

 

その目は、

絶対俺が決めてやる、と思うような

強気な目だ。

 

 

ピー――っとホイッスルが鳴るのに合わせて、

橋本は呼吸を整える。

 

ほんとにあいつなんかで、

大丈夫なんだろうか。

大事な1点をあいつに託すって、

そうとうな事だぞ。

 

橋本の

高く真直ぐあげられたサーブトスで

手に当たった瞬間、

ボールは真直ぐ相手のコートに伸びる。

 

橋本、

俺の言った通りのサーブをこなしてる。

 

そのままリベロの方へ飛んでいくが、

そのボールは落ちる瞬間に

少し曲がったかのような変化球になり、

リベロはそのボールを取り損ねた。

 

リベロの隣に落ちたボールは

転々と転がってゆく。

 

「さ…」

 

「サービスエースだ!!!」

 

ピッピッピー!!

 

25対23

 

橋本のサービスエースのお陰で、

俺達のチームは勝った。

そのとたん、チームメイトは橋本に寄り添い

抱き合い褒めたたえる。

 

「トビオじゃなかったね…」

 

ショーヨーはそう言うが、

俺の弟子みたいなもので、

俺の教えたサーブを生かして

買ってくれたことに、

俺は嬉しさが込み上がる。

 

橋本は、

俺にグーパンチを向け

ニッと満面の笑みを向けた。

 

俺はチームメイトと一緒に、

その橋本に拍手を送った。

 

 

 

―――

 

 

練習試合が終わり、

片づけをしていると、

何処からも必ず「橋本」って名前が出てくる。

 

「今日の橋本凄かったなー」

 

「あんなサーブ打てるとは思わなかった。」

 

金田一や国見が

そう話しているのを聞いて、

その橋本がもしも俺だった場合は、

俺に対して褒めることはあるのだろうか、

まぁ、俺じゃなくて橋本で正解だったのかもな。

 

その時だ、

後輩たちが、

「影山さ~ん!!!」

と一斉に駆け寄ってくるのだった。

 

な、なんだ!?

 

「影山さんなんすスよね!橋本にサーブ教えてくれたの!!」

 

「さすがッス!!俺もサーブ教えて貰いたいッス!!」

なんだか、

親にすがっている

子供の様に

1年達は集まってくる。

 

「お、俺!!!」

 

「影山さんの教えてくれたサーブトスで、勝つことが出来ました。これも影山さんの力だなって…

その…あざっす!!!」

 

橋本が、

他の1年にも、

俺からサーブを教えて貰ったことを

自慢したみたいだ。

あぁ、だからこうやって、

人が集まってくるわけだ。

 

なんか…こういうのって…

温かいな…。

俺なんて…

必要されてないと思ってたから。

 

「あぁ、今日は時間ねぇから、また今度教えてやるよ。」

 

「わぁ!!ヨッシャーーー!!!」

 

「影山さんのサーブ教えて貰える!!」

 

そう、

1年達は喜ぶのだった。

 

そうやって、

必死にバレーに直向きになれるって、

いいよな。

 

こんな俺が

人の為に教えたりすることなんて

あるとは思わなかった。

 

 

家に帰ってシャワーを浴びて、

 

今日もベッドに

ショーヨーと一緒に眠る。

 

いつも俺の腕の中で

すっぽり収まるショーヨーは

きょうも嬉しそうに話す。

 

「最近、トビオの周りが温かいね」って。

 

「それはね、トビオの性格が優しくなったからなんだぜ?」

 

ショーヨーは

そう言うと俺の心臓に手を当てる。

 

「トビオのココがね、優しいからなんだよ。」

 

ショーヨーの触れる手が

温かくて、

俺の気持ちもほわほわと

温まるのが分かった。

 

俺がこんな風に

変わっていけたのも、

全部、全部、

お前のお陰なんだよ、

ショーヨー。

 

「ショーヨー…」

 

「ん…?」

 

「…ありがとな…。」

 

「…うん…。」

 

俺は今日も、

ショーヨーに気持ちを温められて、

夢の世界へ入っていくのであった。