私の街に彼が撮影で来ると知ったのは、エキストラ募集のSNSだった。
彼には内緒で応募したら、当たった~。500人を越えるエキストラ。
きっとバレない…彼が仕事してる姿も見てみたい。
家に来てもゲームばかりしていて、アイドルのオーラなんて全くないし…。
キラキラしている彼を見てみたい、ゲームだけをしている彼も好きだけど…

〈二宮さん、入ります。〉

スタッフさんの声に周りが一気に色めき立つ。

『みなさん、寒い中ありがとうございます。よろしくお願いします。』

一言挨拶だけして、スタッフと打ち合わせを始めた。

〈見て~、やっぱりかっこいいよね~。〉

隣にいたエキストラさんが話しかけてきた。

場所は学校の校庭。広いし、バレない。
私たちエキストラもスタッフから、説明を聞く。

〈じゃあ、そこのお二人はこの辺で待機して下さい。〉

スタッフに言われて、移動していた。

〈二宮さ~ん、こちらにお願いします。〉

えっ、こっちに来るの?

バレないように下を向いていたけど、ばれるよね?
一瞬でばれた…そうだよね、見慣れた服と靴。

『よろしくね。黄色い服って、目立つよね~。さっきから、目立ってたよ。』

私の隣にいた人に話しかけるカズ。アイドルスマイルを向けたのに、私の存在は無視。

かと思いきや、よろけたふりをして私の足をわざと踏んできた。

『あっ、ごめんね。わざと…じゃないから。』

カズの得意な笑い方、口角を少しだけあげていたずらっ子みたいな顔。

少し離れた場所にまたカズは行ってしまった。
怒ってる…そう思っていたら、携帯がメールの着信を告げるバイブがなった。

〈何してんの?あんなバレる人の横にいたら、すぐ分かるよ。これで仕事終わりだから、そのまま家行くから。覚悟しておけよ。〉

メールを読んで彼を見ると、ニヤニヤしてる。

撮影は無事に終わり、お土産をもらって帰宅。体が温まるように、スープを作って待つことにした。

『ただいま~。』

渡しておいた合鍵で鍵をあけて入ってきた。

「おかえり~。ごめん…ね?」

『バレバレでしたけど?バレないと思ったの?』

コートを脱いで、コタツに入るカズ。

「見てみたかったの…アイドルの二宮和也を近くで…」

ゲームをしながらチラッと私を見る。

『ふ~ん、毎日見てる俺は嫌なんですか?』

「そうじゃなくて…仕事してる姿を見てみたかったっていうか…。家で寛いでるカズも好きなんだけど、仕事してる姿もかっこいいかな~?なんて…」

ゲーム機を置いて、こっちに来た。

『仕事してる姿ね~。この姿を見れるのは、あなただけなんですけどね~。特別な人しか見れないんですよ。』

「うん。仕事してるカズは、かっこよかったけど…でも、やっぱり嫉妬しちゃうね。私には、こっちのカズが好きよ。」

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この前、近くで子供達がウロボロスのドラマの撮影にエキストラで参加してきました。
親は立ち入り禁止だったので、小栗旬か生田斗真が来るんじゃないかと思いましたが橋之助さんだけでした。