頭が痛くて、寒気がする。咳も止まらない。隣の席の人に、咳が止まらないと死ぬよ…と、脅されて病院へ。薬をもらって、自宅に帰る。買い物をする気力もなかった。
とりあえず、パジャマに着替えて布団に入った。携帯の音も消したことを忘れて…
ウトウトしたところで、玄関のピンポンが連打されている。

「はい。どちら様ですか?」

『俺だよ、開けて。』

「カズ君?ごめん、今日は、帰って…」

咳が止まらなくて苦しくなってきた。

『早く開けろって。』

ドアノブをガチャガチャする音がする。鍵をかけ忘れたのか、ドアが開いた音がした。

「カズ君、帰って。うつしちゃう。」

しゃべりだすと、咳が止まらない。

『無用心だな。とりあえず、もう話さなくていいから。』

背中をさすってもらい、少し呼吸が楽になった。ふうーっと息を吐いて、呼吸を整えた。

『落ち着いた?ご飯でも行こうかと思ってメールしても電話しても返事がないから、来てみたら…来てよかったよ。』

「ごめんなさい。でも、今日は帰って?こんな大事な時に…うつしたくないから。」

彼の背中を押して、玄関まで押して行くつもりだった。その時、目眩がして彼に受け止められた。

『こんな時くらい、俺を頼れや。ベッド行くぞ!』

少し強い口調で話す彼に、従うことにした。ベッドに横になると、熱を計るように言われた。その間にカズ君は、キッチンに行った。

『冷蔵庫の中、あまり入ってないけど…何か食べれるものあるか?コンビニ行って買ってくる。なんだ、この熱⁉︎ここから動くなよ。』

そう言うと、部屋を出て行った。熱のせいなのか、カズ君が来てくれた安心感か…そのまま寝てしまった。

つづく…