そのアルバイトに就いたのは、
先輩の紹介があったのと時給が良かった事。 


そして比較的入る日を自分が選べ、休みたい
日に休めたりするのが魅力的だった事もあり。

将来就きたい職業に近いから、ってのも勿論
理由のひとつではあった。


 ざっくり言えば、
挙式のアルバイトスタッフ。


 なんだけれど。

草むしりも噴水の掃除もするし、引き出物の
振り分けもやれば、会場作りやテーブル上の
配置準備もする。

メインは披露宴での配膳だけど、その日に
よっては披露宴前のゲストに待合ルームで
ウェルカムドリンクを渡したりもするし、
親族が控え室にいる間、控え室で飲み物の
提供とか、それらに纏わる片付けその他…。

平日、
晩餐会があればそれらの給仕に呼ばれれば、
それを手伝う場合もある。



実際自分が飲食の仕事に就きたいのかと問わ
れれば、答えは否。

だけど。



イベントの主催や、構成・運営なんかにも
興味があるから。
この仕事をしていると、入るたびに、その
カップルごとの趣味次第で同じ空間のはず
なのに趣が全く違ったりして面白く。
今後に、何かしらプラスになりそうな気も
するから続けている。


現に、
カトラリーの配置とか会食マナーなんかも
ほぼほぼ自然に学べたし。
ちょっとしたアクシデントにも対応できる
ようになった。



照明の当て方、音楽を掛けるタイミング、
映像の使い方と生花の飾り方。

それだけでも多種多様、見るだけで勉強にも
なるし。
たまに自分好みのお洒落な構成に出逢えると
テンションも上がる。




とはいえ学生アルバイト。

社員程の負うべき責任も持たないでいられ
るから気分的に楽な部分は多々あって。


クレーム対応に頭を下げている社員の姿を
目にすれば、その理由次第では理不尽にも
思う事は結構ある。

自分がそんな時謝ったり出来るかは甚だ疑問
だし、極力迷惑を掛けない様にしなければ、
と思うから。
自分でももちろん細心の注意を払うけれど、
後輩たちにも目は配るし、避けられるミスを
未然に防ぐ努力はする。



そういった本来当たり前な努力が認められ
たのか、大学3年の後半には平日に併設の
カフェの方まで任せてもらえる日が増えて
きた。



今日もそう。

元々忙しいカフェではないし、飲み物は基本
自分がいれるけれどケーキ含め食べ物関係は
キッチンから運んでもらうから、気分的には
ゆとりで。
レジの準備や、開店前の簡単な掃除なんかを
しながらひとり、好きな音楽を掛けていた。





学部は文系だし。
1,2年の間に真面目に単位も取得して来た
から、年々学校に行く日数も減らせるし。
学生生活的には自由な時間も増えてくる。


就活も、してなくはないけれど。
まだ職種すら絞りきれず、決めきれず…。

この高時給バイトで稼いだお金は、実は
そこそこ貯めていて。
大学に入ってから少しづつ心惹かれている
分野を学びに、専門学校に入り直そうかと
思ったりもしていて。


アルバイト中とはいえ、こういう一人の
準備時間、ゆとりがあれば尚のこと。

ぼんやり抱える不安にため息もつく。





松本潤、21才。

大学4年を目前に、まだまだ人生迷走中。



基本、前向き。


それも悪くない、とは思ってる。



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