第三十一章
「もう日本に入れない俺を・・・・・・好きでいれるか」
徳井君は顔をそむけた
「どういうこと?」
徳井君はそのまま立ち上がった
うそであってほしい
うそじゃないの?
ねえ?
ねえ?
日本にいれない?
じゃあもう会えないの?
じゃあ私のこの恋はどこに押しやればいいの?
立ち上がって走り出した
涙が溢れていくことを止めることが出来なかった
私はこれから
徳井君のいなくなった世界からどうやって生きていけばいいの?
どこに走ればいいかわからなかったが
きっとあの場所へ吸い寄せられた気がする
琴音に逃げている足音で徳井は何もかもが終わったと思っていた
「あーー・・・・・」
生きる気力もないようにただ立ち尽くしていた
ただポケットの中でそれを握っていた
「何やってんのさ」
俊介の後ろには望がいた
「なんだよ・・・・・」
「『俺が帰ってくるまで待ってろよ』とかかっこいいこといえないわけ?」
「・・・・・・・帰ってこれるかどうかわかったわけじゃねーし」
「大体好きなら好きって言えば良いじゃん!」
「うるせー!俺の気持ちなんてお前にわかるかよ!!」
「わかんないわよ!」
いつもニコニコ騒がしいだけの望が声を荒げた
「いい?琴音はね!うちが友達になった中で一番鈍いんだからね!簡単なことまで察してると思わないで!琴音の考えていることを俊介はどれだけわかっているの?」
望は言い切るとはぁはぁと息を整えた
「・・・・・・・」
徳井はそのまま苦い顔をしてどこかへ歩いていった
「!!・・・後悔するからね!ぜったい!!」
望は地面を蹴り上げた
隠れて聞いていた幸一とミイナは顔を見合わせた
「何とかしなくちゃ!きっとどっちも勘違いしてるよ」
だが幸一は首を振った
「これは二人が決断を下すいいチャンスだよ」
「でも・・・」
幸一は言い返そうとするミイナの口を押さえた
「他人が手を出せるほど簡単な問題じゃないよ」
琴音は泣きじゃくりながら走っていた
どこに向かうかもわからず
ただ走っていた
「いた!」
誰かにぶつかり琴音は力なく倒れた
「・・・・あ、すみません」
泣かれている顔を隠すようにうつむいた
「どうしたの?!」
思わず顔を上げた
「せんせい?」
渡邉先生だった
一気に涙が溢れた
安心したのか、ただ辛かったのか
止まらなかった
「・・・・聞いたのか?」
私は小さくうなずいた
「俺のとこに逃げたくなった?」
私は全力で首を横に振った
「・・・・・俺は良いと思うよ」
ゆっくり見上げるとやさしく笑っている顔があった
「わがままで良いと思うよ」
ポカーンとしているとせんせいが私の耳に近づいた
「今月中だからな」
先生は方をポンとたたいて歩いていってしまった
「今月中・・・・?」
何かわからなかったが
私にはタイムリミットに聞こえた
タイムリミットが定まった瞬間
どうすることも出来ない気持ちが巻き起こった
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