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逃がさない。
この匂いを、逃がさない。
早く、血を、ハラワタを、肉を。
食らいつきたいのに。
それを邪魔しようとする気持ちは何?
分からない。分かりたくない。
血を吸おうとしたら突き飛ばされた。
「…翔君じゃないお前に、相葉ちゃんは殺させない…ッ!!」
『…そ、』
馬鹿だなぁ、智君は。
『確かに俺は君たちの知ってる翔君じゃぁない』
『俺は櫻野翔って名前だからね』
くつくつとのどを鳴らして笑うと、相葉ちゃんは絶望したような顔で俺に聞いた。
「…櫻野、翔ちゃん…、お願いがあんの」
『なぁに?櫻井が好きで堪らない相葉ちゃん』
「ッ、お前…!!」
智君が殴りかかろうとすると、相葉ちゃんに止められた。
「…リーダーを殺すぐらいなら、俺を殺して」
ほら、と手を広げて一歩近付いた。
その姿を見ると、中にいる櫻井が暴れ出す。
"ぁば、ちゃ…逃げ…ッ!"
"うっせぇよ!!"
茨の心の壁に捕まりながら言った櫻井を黙らせた。
「ほら、別に良いから」
そう、優しく微笑むこの馬鹿。
「あいば、ちゃ」
「リーダー」
"俺は別に良いから、逃げて"
「ッ…、ごめん…ごめんね」
智君はそう呟き、去った。
「ほら、誰もいないよ」
『馬鹿じゃねーの…?』
俺はそう思った。