妄想のお話です。





「あの、学習の教材は良さそうですが、ちょっと、お高いですね。」


加菜恵さんは、申し訳なさそうにしてる。


「そうですね、教材費用、テスト、タブレット、もし、講師を指定する場合、指定料金もいただきます。


契約は、ご主人とご相談の上で大丈夫ですよ。」


さあ、なんと答えるか?


「ちょっと、相談出来ないんですよね。」


「あっ、失礼しました。


タブレット代金は、分割に出来ますので、奥様の収入だけでもなんとかなるとは、思いますが。


失礼ですが、ご職業は?」


「え、あの、看護師をしています。」


「そうでしたか。


私、啓王大学出身なのですが、看護学部があり、附属病院に勤務している後輩がいるんですよ。」


「まあ、私も啓王です。


附属病院で日勤の看護師をしています。」


「去年、働き始めた甲野っていうんですけど、ご存知ですか?」


「いえ、何しろ、人数が多いので、知りません。


男性、ですか?」


「ええ、男性看護師なので、目立ってるかと思いました。」


「最近、男性看護師も増えてきて、そんなに目立たないですよぉ。」


同じ大学と聞き、リラックスしてきたようですね。


「奥様、私がこんな事を言うのもどうかと思いますが、この教材、やめておいた方がいいです。


内容の割に、高額ですし、返信も雑です。


実は私、退職するつもりなんです。


副業として始めたばかりなのですが、どうも詐欺まがいなので。」


加菜恵さんは、ビックリしてます。


「奥様も、看護師とは言え、シングルマザーでは、色々とご苦労もあるでしょう。


こんな、詐欺みたいな教材、契約しちゃダメです。」


さあ、シングルマザーと言われて、どう返事をするでしょうか?