妄想のお話です。
翌日の朝、サトルからLINEが入った。
《やっぱり、『遠くに行ってしまって会えない、諦めろ。』と言われました。》
そうか。
ん?遠くって、天国じゃなくて、距離的に遠いのか?
離婚か…
問題がある父親だった可能性があるな。
DVか借金、ギャンブルとかか。
知らない方が良さそうだけど、俺が断って下手に動くと、ややこしくなるかも知れないな。
〈今日は何時から動ける?〉
《今日は下校が早くて、3時半には帰ります。
塾は6時からです。》
〈じゃあ、帰ったらすぐに、この前のカラオケ屋の前に来て
保険証とかマイナンバーカード、何か、自分を証明するものと、ハンコを持ってきて
ハンコは、インクが自動的に付くのはダメ
無いなら俺が買うから、苗字を教えて〉
《ハンコは置き場を知ってるから大丈夫です。
保険証とマイナンバーカードもあります。
もう学校に行く時間なので、行ってきます。》
よし、頑張ってもらおう。
いつもと違って、スーツにネクタイで出社した。
翔くんは、何も言わなかった。
相葉ちゃんは、ネクタイが似合ってると誉めてくれた。
でも、ニノと松潤が来たら、ふたりともうるさい。
「大野さん?
なんだか、サラリーマンみたいですね。」
「ネクタイの仕方、覚えていて良かった。」
「今日は何かあったっけ?」
「取引先が来るとわかってる日でも、私服で来たりするのに、雨が降るかも?」
本当、うるさいな。
「サトルの父親探し、やる事にしたから。」
そして、今朝のやり取りを皆に伝えた。