妄想のお話です。
いつものように、仕事の業務連絡をしてから、相談についてニノが説明してくれた。
「一件、気になるのがあるんだ。
死んだはずの父親が、もしかして生きてるんじゃないか?どうやったら調べられるか?って事なんだけど、学生だと思うんだ。」
ん?死んだはずの父親を調べる?
それは、さすがに難しいんじゃないかな?
大ちゃんは、何も言わない。
翔ちゃんが、ニノに書き込みを読むように促してる。
「誤字脱字があるから、わかりやすくして読むね。」
〔母から、父は死んだと言われています。
でも、生きてる気がします。
幼稚園の頃、一緒に遊んだ記憶の父と、家に飾られた写真が違う気がしてます。
母は仕事が忙しいし、聞けないです。
父について調べたいのですが、調べる方法はありますか?
一度、知恵袋に相談したら、変な返事ばかりで、嫌になりました。
自分で調べたいと思います。〕
「でさ、書くべき年代も性別も無いし、その知恵袋も探してみたけど、まず母に聞けとか、親戚はいないのかとか、変な返事でもないんだよね。
ちょっと、ネットでのやり取りに慣れてない感じがするんだよね。」
ニノの後ろに行って、パソコンを覗いてみると、母の文字の前に『お』の字があって、『お母』になってる。
これって、お母さんと書いて、さんを消したのかな?
他にも、誤字がある。
松潤も来て、覗き込んでる。
「高校生、大学生、まあ、10代は間違いないね。
大野さん、どうする?」
松潤の言葉に、大ちゃんは、眉をしかめながら返事した。
「こういうのは、知らない方がいい結果が多いんだよ。
調べるのを諦めさせる。
話だけ聞くって、連絡して。」