妄想のお話です。





~智~


朝食も美味しくて、帰るのが残念な位だった。


名残惜しかったけど、青木さんの奥さんにおにぎりをもらって、民宿を後にした。


スカイラインで景色を楽しんでから、ジェットフォイルに乗り込んだ。


そしたら、いたんだ、あの男が。


「ねぇ、大野さん。あの人、砂金取りの時もいたの。」


ニノが、小声で教えてくれた。


やっぱりおかしい。


佐渡島へは、釣りに来たと言ってたのに。


「それに、夜中に物音がしたのに、皆、寝てるし、ピチャピチャ水の音がしたし、顔にフワッと何か触ったし。」


不安そうなニノの言葉に、松潤も同意して教えてくれた。


「一昨日の夜、部屋のドアが開いて、テーブルの上のお菓子が散らばってたのも?」


んー、それは、アレの可能性があるな。


でも、あの男は許せん。


男がどこかに移動したので、皆に動かないように言ってから、ついていった。


物陰で、誰かに電話をしてる。


「やっぱり無理でしたよ。


もう、プロに頼んでください。」


後ろから肩を叩くと、ヒッと声をだした。


「誰に、何を頼まれた?」


低い声で聞くと、あわてて電話を切って、頭を下げる。


「あの、社長に、その、坊っちゃんに恋人が出来たんじゃないか?


旅行は、友達じゃなくて、恋人と行くんじゃないか?


確認してこいと。」


あー。なるほどね。


くるりと踵を返して、皆の所に帰った。


皆、不安そうな顔をしてる。


「翔ちゃん、この旅行について、家族に何と言った?」


「え?会社の仲間と、佐渡島に行くのと、レンタカーを借りる事、新幹線と船の時間だけ教えたけど?」


「翔ちゃんの会社の人が、翔ちゃんが恋人と旅行してると思って調べてただけ。


ちなみに、夜中のは、猫だと思う。


物干し場のドアが少し歪んでいて、俺が服を取りに行った時、黒猫がそこから逃げたのを見た。


とりあえず、翔ちゃん、お父さんには、よ~く説明しておいて。」


「は~い。この前、智子ちゃんと和美ちゃんの写真が見つかっちゃったからかなぁ。」


「「は?」」


ニノと声がハモった。





🎼この章、終わります


ギリギリだった・・・


そして、しばらくお休みします