妄想のお話です。





隣の4人は、子どもの頃の話題が一段落したみたいで、翔さんが結婚についての理想を聞き始めた。


そうなんだよ、この佐藤さん、初恋の相手を探すのはいいけど、子どもの頃に一度会っただけなんだから、性格だってわからないし、今現在がどんな生活をしてるか、不安じゃないのかなぁ。


再会したけど何か違う…のパターンでも、次に進む為に必要なステップなのか?


ハムスターさんとも、かなり会話が弾んでる気がするけど、彼女と交際するにしても、初恋の女性探しの決着をつけたい。


「ねぇ、相葉くん?」


「ん?やっぱりショートケーキが良かった?


モンブラン、好きだったよね?」


「いや、そうじゃなくて、あのふたり、いい感じだよね?」


指で小さく隣を指した。


「そうだね、お付き合いしちゃうかもね。


お姉さんの紹介なら、変な人じゃないだろうし、いいんじゃない?」


「その為にも、初恋の人探し、なんとかしたいね。」


「そうだね、なんとかなると思うよ。」


相葉くんの確信はどこから来るんだろう。


でも、言霊って言うのか、相葉くんが言うなら、大丈夫な気がするんだよね。


大野さんとは違う信頼感がある。


そうだ、大野さん、帰ったのか、お姉さんと仲良くやってるのか、気になる。


大野さんの女性関係って、まったく知らないんだ。


お姉さんは既婚者らしいから、変な事にはならないはずだけど、女性とふたりで会話する大野さんって、どんな感じになるのかなぁ。


ぼんやり考えていたら、隣の席では、LINEでグループを作るみたいだ。


ニノが持ってるのは、智子のスマホだけど、LINEのアカウントは別アカにしてあるらしい。


佐藤さんが、帰ってしまった大野さんを入れなくていいのか、気にしてる。


ニノが大野さんを見ていたから、気を利かせてるんだろう。


俺の方から、4人でLINEグループを登録しているっぽいと大野さんにLINEした。


佐藤さんとハムスターさんが、仲良くなれそうな雰囲気なのも伝えた。


その後、4人は、その喫茶店の前で解散した。


佐藤さんとハムスターさんを見送ったニノを回収して、ふたりでタクシーでマンションまで帰るんだ。


「潤くん、疲れたよ。」


「お疲れ様。


服も俺が持って来てるし、ウチでメイクを落としてあげるから、もう少し頑張って。」


高校生の頃、ニノのお姉さんの画像を待ち受けにしてたけど、女装したニノも美人なんだよね。