妄想のお話です。





「よろしくお願いします。


姉の連絡先をLINEで送りますので、打ち合わせをお願いします。


本当に助かります。」


「お任せください。では、失礼します。」


翔ちゃんは、勝手に話して、勝手に電話を切った。


大野さんは、完全に怒ってるのに、翔ちゃんは、まったく気にしてない。


「智くん、誰と誰がいいかなぁ?


普通、お店は、男側で考えるの?


あ、あまり騒がしい店は嫌だよねぇ。」


「翔ちゃん、勝手に引き受けんな。」


「まあまあ、こっちは彼女を探してないし、佐藤さんもその気はないんだから、ただの会食だよ。


それより、お姉さんに会えるから、何かわかるかも知れないじゃん?」


いや、お姉さん、公園に行ってないし、何もわからないと思うけど。


「じゃんけん。」


大野さんのひと声で、じゃんけんで決める事になり、俺はお役御免になった。


翔ちゃんがお姉さんとやり取りをして、3対3の合コンが決まった。


合コンで盗聴や盗撮の必要があるとは思えないけど、一応、準備をすることになった。





あの時、もっと真剣に断らせるべきだったんだ。


人探しをゲームだと思って、参加していた俺も悪いかも知れないけど、なんで合コンに参加する必要があるんだ?


しかも、女装させられるとか、意味がわからない。


合コンが決定した後で、お姉さんから予定の女の子が1人都合が悪くなったと連絡が来て、翔ちゃんが友人の妹を連れて行くなんて返事をしたんだ。


勝手に。


相葉さんは、智子ちゃんのスマホのカバーをキラキラに取り替えてるし、潤くんは小ぶりのバッグを買ってくるし、ノリノリなのは何故なんだろ?


大野さんはそのまま参加に決まってるって言ってるけど、そこを俺にして、智子ちゃんで良くないか?


俺は、潤くんに化粧をしてもらってから、翔ちゃんを睨みつけた。