妄想のお話です。
探偵業は、正式な登録をしていないから、公に募集は出来ない。
悩みや愚痴を書き込む『よろず書き込み処』というホームページを作っていて、書き込みに深刻な問題がありそうな場合、連絡を取る事にしている。
いつもの様に、ニノが読み上げてくれる。
「以上の5件が新たな書き込みです。
まあ、愚痴ばっかりで、書き込んだだけで解消されたんじゃないかな?」
「あ、ニノ?最後の、もう一回読んで。」
「はい?最後の?母親が恋人を拒否した話?」
「うん。」
[このような所に書き込みをするのは初めてなので、場違いでしたらごめんなさい。
昨日、彼女を実家に連れて行ったら、その時は良かったのに、後で母親に結婚を反対されました。
よくある事でしょうか?
優しくて、美人で、僕にはもったいない彼女なんです。
今まで母親に、彼女の事は報告していたし、ふたりで旅行に行った観光地から海産物を送ると喜んでいたんです。
早く結婚しろ、一度挨拶に連れて来いって言ってたんです。
学校や就職先を選ぶ時は、何も言わずに自由にしてくれていたし、付き合う相手に条件をつけた事も無い母親です。
結婚前だけど、嫁姑の関係って、難しいんですね。
愚痴、失礼しました。]
「まあ、よくある話じゃないの?」
うう~ん、ひっかかるんだよなぁ。
「ニノ?ちょっと話してみたいから、俺のID
を送って。
ただの愚痴なら、スルーすんだろ?
あと、2件目の、じいさんが急に性格が悪くなった話、あれ、ボケじゃなくて脳の病気じゃね?」
俺が話してると、パタパタとパソコンを打った翔ちゃんが、これかも知れないと言って、ニノを見た。
「今、関係がありそうなサイトのURLを送ったから、教えてあげて。」
「OK。2件目にURL、5件目に大野さんのIDっと。
今、それぞれ送ったよ。
あとの3人は、適当に返信しておくね。」