ベッドに2人、横になった時も、智はだんまりのまま、仰向けに頭の下に両手を組み、天井を見ていた。
ヘッドボードの灯りで、その智の横顔を、智のほうを向いて寝てる俺が見てる。
難しい顔をしてる。

俺は、よかったと思ってるよ?
その横顔に、心で話しかける。
シャンプーの香りがする髪の毛に、そっと触れながら。

みいを見染めてくれたのが、知らない誰かじゃなくて、Jだったこと。

だって、みいの年頃だったら、ましてや幼稚舎からずっといるんだから、学校で彼氏ができだって全然おかしくない状況なのに。
それが、俺たちが繋いできたJがそうだなんて。

みいはどう思ったんだろう?
俺たち兄貴と同じ年頃のJが、自分のこと好きだって打ち明けられて。
たぶん、父さんや母さんには言わないかな。
だけど、今日のJの様子を見て、何か悪い方向に向かってるようにも見えなかった。

「まだ、悩んでる。」
ぽつりと言って、難しい顔してる智の頬にキスをした。
「悩んでる、そりゃ悩むよ。みいが好きだもん。」
相変わらず天井を見つめてる智の目に力がこもってる。
「俺も、みいのこと好きだよ。だから、みいを大切にしてくれる人を選んでくれたらいいなって思ってるよ?」
そう言ったら、智がこっちを向いて、片肘ついて頬を乗せた。
「返事はまだだし、Jなら、どんな人か俺も智もよく知ってるじゃん。」
「だけど、松潤だっていろんなやつと付き合ったり別れたりしてさ。おいらとかずとは違うよ。」
「俺たちが、特殊なんだって。いろんなやつと付き合ってきたから、みいの魅力もちゃんとわかってるんじゃないの?」
智が唇を尖らせた。
納得しないか、やっぱり。
わからなくないよ。そんなところも、あなたらしくて。
「さとし。」
俺はそう言って、両腕を差し出した。
「抱きしめて?」
智は、片肘ついてた腕を伸ばして、俺を抱き寄せた。
「俺たちみたいに、みいが本当に好きな人とこうして安らげる場所が作れたらいいと思わない?」
智の心臓の音がする。
温かくて、智の匂いがして。
この温もりがあるから、俺は嵐を続けてこれた。
「腰、痛くない?」
頭の上から、智が聞いてくる。
形のいい顎が、俺の頭に乗ってる。
そして、顔を揺らして俺の髪をくすぐる。
「うん。ありがと。」
そう言うと、智の頭が下がって、俺の前にきて。
「かずとみいは、おいらの宝物だ。」
「ん……。俺も、智とみいが、大好き。」
肩を抱いていた腕が、腰に回された。
優しく擦ってくれながら、唇を寄せてくる。
智とのキス。
大好きな、智の唇。
智の全てが好き。大好き。
夢中で智を抱きしめた。
角度を変えて、深く、智の中に入っていく。
「ん、かず…っ。」
智が覆いかぶさってくる。
俺の体は仰向けにベッドに沈む。
智の手が、上着の裾から入り胸の飾りを優しく転がすから、
「んむ…はあっ、さと、し…っ。」
キスしながら、俺は智の名前を呼ぶ。
「だいじょうぶ?」
もう片方の手が回っていた腰をもう一度擦り、智が俺に聞いた。
「ん…いいよ…。」
甘い甘い、砂糖菓子のような2人の声、息遣い。
智の顔がぐっと下に下りて、俺のスウェットを一気に下げた。
あらわになったそれに、智の唇が触れると、全身に電気が走ったような甘い感覚が広がる。
「好き…かず…好き…。」
「んぁぁっ…。」
智の髪の毛をきゅ、と掴む。
背中が跳ねる。

1つになる瞬間は、何万回重ねても、一つも変わらず、愛おしくて……。
俺を見下ろす優しい瞳。
それは、みいを見るそれと同じで。
智…。
みいのこと、大好きなんだよね。
だから、だから…。
そんなことを思っていると、奥の奥まで突かれて、何も考えられなくなって、智と唇を重ねながら、一つの高みへと昇る…。