コンサートがアンコールまで終わると、一気に人が捌けていく。
祭りのあとのテンションは高くて、興奮気味のファンの人たち。

「どうする?楽屋に寄る?」
紺くんに言われて、私は、うーんって考えて頷いた。
コンサートが始まってからずっと会ってなかったから。
近くにいた関係者の人に頼んで、楽屋に連れて行ってもらう。
リナちゃんと手を繋いで、楽しかったねぇって話しながら歩いていたら、後ろから誰かが肩を組んできた。
びくっとなって振り返る。
紺くんは私たちの前。
その前は、スタッフの人。
後ろに人がいるはずがなかったんだけど。

「来たんだ?」
ニコっと笑ったその顔を見て、私とリナちゃんが同時に声を上げた。

「潤くん!」
「松潤!」

「びっくりした?」
そう言って、私の頭をポンポンと撫でた。
「潤くん久しぶり!」
子どもの頃から何度も会ってるから、私たちの会話はこんな調子で。
「おにいたちに会いにきたの。連れてって?」
ってお願いすると、リナちゃんが私の手を潤くんに握らせた。
「紺くんたちも一緒だったんだね。まあ、当たり前か。1人じゃ危ないもんね。」
普通に手を引いてくれる潤くん。
私も普通にてくてくついて歩く。
紺くんが先に楽屋に入って、

「こんばんは!おつかれさまです!」
って、中で声をかけた。
「おお、紺野。」
「うわ、紺野くん久しぶり!」
「海月も?」
続けて私と潤くんが入ったら、
「海月!!」
智兄が近寄ってきた。
潤くんが手を離すタイミングと、智兄に抱きしめられるのが一緒になった。
「うわ、智兄汗だくじゃんっ!帰れなくなるから離れてっ。」
「海月ー、よく来たな〜♪また背え伸びた〜?」
「人の話しを聞いてよぉっ!!」
って智兄の胸の中でポカポカグーパンチしてたら、
「離れなって。」
笑いながらお兄を和兄が引き離してくれた。
「わーん、Tシャツがぁ!」
私の声に、顔を覗き込んできたのは和兄で。
「ちょっと見ない間に、なんか女の子になってる。」
ふふふ、って笑う。
「なんか、じゃなくて、女の子!和兄だって女の子みたいな顔してるくせにー。」
ぷうって頬を膨らませると、んふふ、って智兄まで笑い出す。
「いつまでも子ども扱いしないで。私だってもう高校生なんだから。」
リナちゃんが、いい子いい子してくれる。
ん、だけど。
「あっ、海月じゃん?久しぶり!」
その時、どっか行ってたのか、翔くんが入ってきて。
「お久しぶりです、翔くん。」
お辞儀したら、また頭を撫でられて。
「大きくなったなー?」

そりゃあ、私以外のみんなは同世代で。
私だけ一回り以上子どもかもしれないけど。
完全に子ども扱いされるのが、ちょっと淋しかったりするんだよ?

「なあ、よかったらこれから飯食いになんて、どう?」
その時、再び私の肩に回された腕。
何故か、いつもなんだけど、すぐわかる、腕。
そしてそれが、誰のものかすぐにわかる私。
「潤くん。」
横を見ると、またニコっと笑った。
「こら松潤!おいらの可愛い妹に触んなっ。」
「は?」
智兄の声に、潤くんは一言応えて流すの。
「ご飯、行く?海月ちゃんや紺野くんたちも時間大丈夫なの?」
相葉さんが言って、
「俺たちは大丈夫です。海月ちゃんのご両親に連絡しますね。」
慣れた動作で携帯を取り出して、素早くお母さんに電話してくれた。
お母さんの許可が降りて、久しぶりのおにいたちとのご飯に胸が踊った。