「俺たちの名前はーーー!!!?」

───あらしーーー!!!

「ありがとうっ!」
「また遊ぼうねー!」
「バイバーイ!!」

最後の瞬間まで、気を抜かないで、ステージから降りるまで、完璧な嵐で駆け抜けたステージ。
この東京ドーム公演は4days。
今日はその1日目だった。

あーらーし!
あーらーし!
あーらーし!
あーらーし!

鳴り止まないコール。
ふわあって、欠伸した紺くんの背中をぺしっとするリナちゃんが可愛い。
「もうっ、雰囲気だいなし!止めてよおっ!」
紺くんとリナちゃんが、どうやって結婚まで至ったのか、それはまた別のお話で。
アンコールの声に誘われるように、汗だくのおにいたちが出てくる。
肩にタオルを掛けた松潤が、私のすぐ前を通った。
ふと、こっちに気づいた顔して、ふわっと笑いかけた。

潤くん。
なんか、穏やかなお兄ちゃんになったなぁ。
私は、デビューしてからの嵐さんをずっと追いかける形で大きくなって、潤くんが最近、一番可愛いな、と思うようになって。

「キザっ!」
紺くんの言葉に、リナちゃんが、もうっ、って声かけるけど、
「年下には見えないところがまた、すごい。」
なんて、笑いながら見てるの。
コンサートに来る時は必ずこの2人と一緒。
おにいたちもだけど、お父さんとお母さんも、1人だと心配だからって。
友達に一緒に行きたいって言われるけど、チケット取るのが大変で、まだ友達とは来たことなくて。

あー、夏美が潤くん好きだったなぁ、今ここにいたら喜んだんだろうなぁ。

潤くんに手を振ると、潤くんはまた笑って、ひらひらと手を振ってくれた。
背後がすごいことになっちゃって、私は慌てて手を引っ込めた。

「なに?あなた知り合いなの?」

なんて、声をかけられることもある。
家族席にいるのは、メンバーの知り合いもだけど、小さな子どもを連れたファンの人が多数。
だから、こんなこともあるの。
「いえ、知りません。」
ねえ、おにい。
なんで私のお兄ちゃんは、アイドルなんだろう。
普通のお兄ちゃんだったら、今頃普通に会社員とかで、彼女とかいて、もしかしたら、子どもとかいたかもしれない、なんて思うこともある。
だけど、考えると、2人とも普通の会社員とかってイメージが沸かないな(笑)
智兄は絵を描くの好きだし、和兄はゲームが好き。

「なあ、海月ちゃん。」
ふと、紺くんが私を呼んだ。
「なあに?紺くん。」
「俺らはさ、大野と大野先輩が兄弟だって知ってるから、あれだけひっついてても、まあ、それでも特殊な兄弟だと思うけど、普通のファンの子はどんなふうに見てんだろうな。」
くすくす、笑いながら紺くんが続けた。
「リナから和也くんとったの、おーちゃんだよ?」
リナちゃんも笑う。
私も、くすくす笑っておにいたちを目で追った。

2人、花道に倒れ込んで、スライディングした智兄の上に、和兄が覆いかぶさってる。
上で両手ピースした和兄に、重い〜って目をつぶって叫んでる智兄の顔が見える。
更に相葉さんまで。

「あはははは!!」

マイク持ってる翔くんがお腹抱えて笑った。