「…。」

 

1301号室。

ホテルの番号。

 

”今日、夜の9時、暇なら、〇〇ホテルの1301号室に来て。”

 

急に呼び出してきた、和也さん。

仕事で、取引会社の担当だった和也さんと知り合った。

連絡先だけ交換して、一度だけ食事に行った。

そして、お酒を飲みすぎた私を、和也さんが自分の家に

連れて行った。

 

「…おーい、大丈夫?、〇〇〇。」

「も、うのめ、ません…。」

「はぁ…。」

「お、ふろ…、入らな、きゃ…。」

「え、ちょ、おい!。」

 

これが始まり。

これが、関係の原因。

そして、その日の次の朝。

気が付くと、自分の身体は裸。

隣には、眠っている和也さん。

 

「…ま、まさか…。」

 

私は起こさないように、ベッドから降りて、

服を着て、出て行った。

 

(これは、夢だ…。)

 

そう思うしかなかった。いや、思いたかったんだろう。

 

そして、和也さんはその事をバラしたくなかったら、

俺とそういう関係になれ、と言われた。

 

 

(…1302、1301…、ここだ…。)

 

 

ピンポーン。

ガチャ。

 

「ん、上がって。」

「はい。」

 

いつになっても慣れない。

シャツを崩して、ネクタイを緩めている軽い軽装。

そんな姿でも、ドキッとしてしまう。

 

「じゃあ、お風呂入ろっか。」

「は、はい…。」

「まだ、慣れないんだ。」

「そ、そりゃ、慣れませんよ。」

「まぁ、慣れてない方がそそる。」

「ま、またっ////。」

「ほら、服脱ぎなよ。」

 

 

「はぁ……。」

「う、あっ、んっ。」

「さて、どうして欲しい?」

「へ?」

「どうしてほしいか、言って。」

「え。」

「言えるよね?」

「や、だ。」

「でも、ここはヒクヒクしてて、欲しがってるよ?」

「そ、それは。」

「身体は正直だよ、〇〇〇ちゃん。」

「は、やく…。」

「何を?」

 

私の下の口の入口に、和也さんのものを、こすられる。

 

「ほら、早く…。」

「い、いれてください。」

「うーん、ま、いっか、合格、ご褒美ね。」

 

和也さんのものが私の中に入ってきた。

 

 

期待してしまう、この行為自体が。

恋愛感情なんてない和也さんは、私を性欲処理に使っているだけ。

私は、気付きたくなかった気持ちを気づいてしまったんだ。

おろしたての気持ちを抱えたまま、

片想いのまま、体温を交換する。

 

 

「…また、よろしくね。」

 

 

「では、これより第69回 〇〇大学入学式を行います。

一同、ご起立願います。」

 

 

司会の先生の声が、体育館に響く。

 

私は、今日から大学1年生になった。

そして、その大学には…。

 

「では、学年代表 湯川鈴華、壇上へ。」

 

「はい。」

 

長くなった髪を下ろして、風と一緒になびく。

 

「うわー、美人だよ。」

「かわいいねー。」

 

 

「続きまして、スポーツ推薦代表 二宮和也、壇上へ。」

 

「はい。」

 

 

そう、二宮くんと同じ大学に進学した。

二宮くんは、知らせていなかった。

今日、知ったみたいだ。

 

 

「お前…。」

 

「ごめんね。」

 

「あとで、おごりな。」

 

「はいはい。」

 

 

「うわー、並ぶとカップルみたいだねー。」

「美男美女だわ。」

 

 

「また、俺ら付き合う?」

 

「なんでそうなるのww。」

 

「なんとなくだよ。」

 

 

「今年度より、新しく就任しました先生方を紹介します。

今回の面接トップで通過しました、櫻井翔先生です。」

 

「…え?。」

 

「えーと…、櫻井翔です。

今までは、高校の教師をしておりました。

教師の免許を取り直して、小、中、高、大学の教師免許を取る事が出来ましたので、

さっそく、大学の教師に就いてみました。

よろしくお願いします。」

 

「…い、イケメンだーーーーー!!!。」

 

「できたぞ!、今回のイケメングランプリ!、櫻井先生と二宮くんだ!。」

 

「きゃーーーーーーーーー!。」

 

「あ、ひとついいますと、先生、好きな人いますんで。」

 

「ちなみに、俺も。」

 

「えーーーーーーーーーーーーー。」

 

「…また、二宮くんとはライバルになりそうだな。」

 

「俺は、本腰で戦いますんで。」

 

「わ、私…、どうしたらいいの??」

 

「湯川、俺に会いたかった?」

 

「なわけあるか、な、鈴華。」

 

「…うーーーー…(ーー;)。」

 

 

【完】

 

(場合により、続編あり。)

 

 

~1年後の春~

 

 

「第55回、卒業式を始めます、一同起立。」

 

 

櫻井先生が居なくなって、1年が経った。

 

次の日、説明を聞かされた生徒は、悲鳴が響き渡った。

 

そして、それから一年。

 

長かったようで、短かった。

 

そして、ひとつ、大きな出来事があった。

 

それは…。

 

 

「鈴華、二宮くん、来てないの?」

 

「うん…。」

 

「本当に行っちゃったんだ。」

 

「手紙だけ置いて、行ったの。」

 

「…二宮くん、上手かったからね、サッカー…。」

 

「うん…。」

 

 

『鈴華へ。

この手紙を読んでいるということは、俺はもう鈴華には会えないって事なんだよね。

急にごめんね、昨日の夜かな、その日にもう、飛行機に乗ったよ。

理由は、サッカーを極めるためと、

いい加減、鈴華は気づいた方がいいと思うって思ったから、

挨拶しなかったんだ。そして、また暇な時に、顔出すから、

その時はまた、会おうね。

じゃあ、また会える日まで~。    和也より。』

 

 

この手紙から、何も連絡が取れなくなってしまった。

 

 

「…学年代表、湯川鈴華!。」

 

「はい!。」

 

卒業証書授与、名前が呼ばれる。

すると…。

 

「特別に呼ばせていただきます。

…二宮和也!。」

 

「えっ!!!。」

 

「うそーー!!!!。」

 

「はい!。」

 

 

後ろの扉が開けられて、その奥には、制服を着た

二宮がいた。

湯川は、涙をこぼそうとしていた。

 

「…。」

 

でも、二宮の顔は、曇っていた。

 

「二宮、ありがとう。」

 

「いえ、大丈夫です。元々来ようと思っていたので。」

 

「そうか。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「和也くん!。」

 

「あ、鈴華…。」

 

「もう、ど、どうしてあんな手紙置いて、行っちゃったの!。」

 

「ごめんごめん、急ぎの話だったからね、引き抜きは。」

 

「も、もう…。」

 

「あとさ、気付けた、自分の気持ち。」

 

「え?」

 

「その顔は、まだみたいだな。」

 

「なんの話?」

 

「いいや、なんでもない。」

 

「変なの、二宮くん。」

 

「変な感じで、別れちゃったけど、後悔はしてない。

鈴華ならわかってくれるって思ったから、会わずに手紙を置いていった。」

 

「うん。サッカー、上手かったもんね。」

 

「もっと、上手くなったよ。」

 

「そっか…。」

 

続かない会話。

二宮くんは、何かを隠しているように見えた。

私には、分からなかった。

何を気づく、ということを。

 

でも、ひとつ、迷っていることはある。

それは…、櫻井先生の電話番号の紙切れだった。

 

あの日、生徒会室で話したあと、

私の制服のポケットの中に入れてあった。

でも、私は連絡する勇気はない。

 

「…連絡、とってないんだ。」

 

「え?」

 

「櫻井先生から、貰ったんでしょ?

電話番号。」

 

「…やっぱり、知ってたんだ。」

 

「まぁ、その時は彼氏だったしね。」

 

「…何話していいか、わからないし。」

 

「でも、待ってるかもしれないよ?」

 

「…でも、中途半端な気持ちで話したくないから…。」

 

「そっか。」

 

 

二人で、歩く通学路。

でも、それが今日で最後。

私は大学に進学、二宮くんはサッカーが強い大学に進学する。

でも、二宮くんには秘密にしていることがある。

それは、まだ秘密。

 

【続く】