東西・中立化から対中宥和政策?〜日本の未熟な受け身姿勢の危険性 | あらやす日(本)誌

東西・中立化から対中宥和政策?〜日本の未熟な受け身姿勢の危険性

すべての薬剤に副作用があるように、

国家政策や企業の経営戦略の目標が達成できても、

マイナス面、副作用は必ず出てくる。

目標が高ければ高いほど、

副作用も強くなる。

 

東西冷戦時代、特にここ半世紀、

日本が非公式に行ってきた東西・中立化政策は、

独自の再軍備をせずに核シェルターもない

アジアのガラパゴス島のような

特殊な「平和(もどき)」テーマパーク・日本列島をつくって、

ほぼ目標は達成し、成功した(過去形)。

(わざわざ「中立」と明言しなくても間違いなくそう見えるか、

 さもなくばアメリカの「属国」に見える…)

 

中途半端で危険な中立化政策だったが

「国民の生命・資産」はほぼ防衛され、

そこから派生する基本的人権、平和主義もほぼ守れた(過去形)。

(客観的に思考すれば中途半端で危険だが…大和魂の忍耐力で受容…)

 

しかし、

その副作用として、

「国」「国民」の意識や

日本・日本人のアイデンティティーは希薄化し、

(国境線、領海・領空の概念も希薄化…)

左傾化・反日化・スパイ天国化が自然に行われ、

その結果、「国益」概念が希薄化して、

諸文化の低迷、低経済成長などのマイナス面はでている

(ほぼ現在進行形)。

そして、

東西冷戦が終焉してここ四半世紀、

副作用だけが明確に浮き彫りになりつつあるが、

昔の中立化政策の遺構によって受け身の姿勢は変えられず…

(柔道では身体を防衛する「受身」(うけみ)があるが…

 ハード面では日本の国家防衛も未熟な受け身姿勢…)

ソフト面上、

「日本」の能動的な、主体的思考ができにくくなっている。

 

 

2012年以降、

米・オバマ政権(民主党)は従来の対中宥和政策を転換した。

東シナ海、南シナ海で露骨な海洋侵略を行う中国に対して、

普遍的な平和主義の理念にのっとり、

今までの対中宥和政策から米中冷戦的な方針に転換している。

(このアメリカの政策転換を中立化政策継続のために

 世論上日本は軽視している…)

2017年以降、

米・トランプ政権(共和党)では、

高関税政策による経済戦争=冷戦を中国にほぼ宣戦布告し、

中国・中華主義の支配圏拡大を抑制して、

属国化のレベル・範囲を抑制、否定する政策に転換している。

この政策上、

中国の隣国・北朝鮮の独立維持、

(北朝鮮を属国化したい中国よりもアメリカは独立を積極的に認めて米朝会談…

 北朝鮮の核ミサイル開発は中国の属国化回避も考えた手段だったか…)

また、

中華民国(台湾)を中国の属国にさせない動きが以前よりも強くでてきている。

(ただアメリカにもまだ対中宥和政策を築いたキッシンジャー氏等のグループがあり、

 米中冷戦のレベル、戦域を調整中…)

 

米中対立によって、

中国を包囲できるロシアを重視して米露関係は当然友好関係を深めたいが…

米・共和党トランプ政権を打倒したいロシア(露)・ゲート問題には、

米露関係を悪化させたい勢力に中国系も想定せざるをえない。

 

 

さて、

はて、

日本は…?

慣れている自由放任・放置・沈黙で

従来の非公式・中立化政策を取るか?

 

中国の南シナ海・人口島の要塞化による領海拡大の主張、

東シナ海・尖閣諸島周辺での日常的な領海侵犯や海洋資源奪取の動き、

中国軍による日常的な領空・領海侵犯を見ていながら…

日本社会、世論は…非常に反応が希薄(鈍感)だ。

 

ハード面では、

アメリカ軍依存で、

再軍備も核シェルターもない未熟な受け身姿勢ゆえに、

また、

ソフト面では、

非公式の中立化政策の副作用で

日本・日本人のアイデンティティーが希薄化していることで、

国境線、領海・領空の存在とその認識が薄まっているからか?

根底にある大和魂の忍耐力の強さなのか?。

2020年に「平和」の祭典、東京五輪があるためか?

 

いまだに日本は、

東西冷戦時代の中立化政策の延長線上にあり、

対中宥和政策も続行中のようで、

大胆なアメリカが打ち出す米中冷戦の姿勢を極端に否定はしないものの、

積極的な同調にもなっていない。

(昔の東西・中立化から米中・中立化への脈絡か…)

 

【参考】中華民国(台湾)の中国属国化の否定=独立維持を支援するアメリカ

8/21、南米のエルサルバドルは中国からの圧力があり、台湾との関係を断交した。2016年以降、台湾が外交関係を失った国はエルサルバドルが5カ国目で、台湾と外交関係を残す国は17カ国となった。

 

8/23、米・共和党のコリー・ガードナー上院議員は、「中国の弱いものいじめに対処するために用意されている様々な手段に新たな手段が加わる」とコメントし、台湾との外交関係を断ち切り、中国との関係を強める国がさらに増えることを防ぐために台湾との外交関係維持することを支援する法案を数日以内に提出すると語った。
また、ガードナー議員は、台湾に不利となるような決定を防ぐため、外交関係や対外援助に関する変更を行う権限を国務省に与えると説明している。

 

東西冷戦時代から1990年代前半まで、東西冷戦終焉まで約半世紀、米・上院議会は、外国や国際金融等の多(無)国籍系の特権層に影響を受けやすい民主党が過半数になり米・議会を支配していた。ここ四半世紀、共和党が力を盛り返し、現在、上下院で過半数になっているので法案を可決する可能性がある。

 

【参考】日本統治・台湾から中華民国建国

かつて1930年代後半、アメリカは第二次世界大戦に参戦(1941年)する前から、対ドイツ政策としてイギリス本土だけでなく、反共産主義・対日政策として中国本土(台湾で中華民国を建国した国民党)にもアメリカ空軍を義勇軍(正規の軍派兵ではなく)として駐屯させ軍事支援をしている。

アメリカ(裏で日本も)は中華民国(台湾)の建国に深く関わっている。反・共産主義化の国策としてアメリカ・日本が非公式に連携した支援、朝鮮半島諸国同様に日本統治時代に日本の国税・資金で行ったインフラ等の整備、経済的価値にできない貴重な教育、ノウハウ等がなければ今の中華民国(台湾)の国は変わっていただろう。

19世紀後半から20世紀前半、欧米の植民地主義と日本が対等に対立できなかったら…台湾、朝鮮半島だけでなく日本も欧米・ロシアの植民地になり、第二次世界大戦後、共産化が席巻する中で台湾・沖縄は中国の一部になり、満州・朝鮮半島・北海道は旧・ソ連の一部、それ以外の日本列島はイギリスの連邦国になり、またアメリカの州になった可能性は否定できない。

 

【参考】中華民国(台湾)建国時の日本[非公式・ほぼ公的]支援

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