東西冷戦から局地的、文明・アイデンティティー対立、見えにくい対立時代へ
東西冷戦終焉後、
ここ四半世紀以上、
世界で局地的な分断ができつつある。
東西冷戦後の世界の勢力圏について、
国際政治学者ヘンリー・キッシンジャーは、
・アメリカ
・ヨーロッパ
・中国
・日本
・ロシア
・インド
と6つの勢力圏で考えた。
順番は勢力圏の影響力の大きさだと思われる。
【参考】
・アメリカの国際政治学者ヘンリー・キッシンジャーは、ニクソン政権・フォード政権で国務長官になり、旧ソ連(ロシア)と対立している中国に極秘訪中して、米中和解、友好関係をつくる。1973年、ベトナム戦争終結の道筋をつけたことでノーベル平和賞を受賞する。
・キッシンジャーは、ドイツでユダヤ系ドイツ人の家庭に生まれた。中国の資本主義導入時にユダヤ系国際金融資本と共に中国を裏で支援していた可能性がある。
また、
国際政治学者ハンティントンは著作『文明の衝突』では、
歴史的な文明、宗教観や文化等の視点で、
世界を7〜8つに分けている(下記:世界地図)。
複数の国と関係する主要文明圏として、
・19世紀から20世紀は世界の中心だった西欧文明
・石油資源で影響力を拡大したイスラム文明
・中国を核にした中華文明
・インドを核にしたヒンドゥー文明
・西欧文明と土着の文化が融合した南米のラテンアメリカ文明
・ビザンティン文明を母体にした東方正教会文明(ロシア等)
単独的・孤立的な主要文明として、
・「日本文明」
『文明の衝突』では、
前記の主要文明には分類できない国々は多く、
多様な文化を持つアフリカ文明、
エチオピア、ハイチ、イスラエルは孤立国、
(個人的な見解では、イスラエルは無国籍的なユダヤ系国際資本等と関係が強いので
裏には強い連携・協働力があるだろう。)
モンゴル、チベット、タイ、ミャンマーなどは仏教文化圏になるが、
これらの国々は周辺に影響を与える積極的な主体にはならない、
とハンティントンは考えているようだ。
【参考】
・アメリカの国際政治学者サミュエル・P・ハンティントンの著作『文明の衝突』(1996年、原題:『The Clash of Civilizations and the Remaking of World Order』、原題の直訳:文明化の衝突と世界秩序の再創造)。
・ハンティントンは、ハーバード大学のジョン・オリン戦略研究所の所長、米国の国際安全保障会議で安全保障を担当した経歴を持つ、軍事の専門家でもある。
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キッシンジャーやハンティントンの考えでは、
いずれも「日本文明」は、
さながらガラパゴス諸島のように世界で浮いているが、
現在の台湾や韓国等の国々に国益になる良い影響も与えている。
【蛇足】
台湾と朝鮮半島二国、韓国・北朝鮮は、日本の併合時以降、20世紀以降に「日本文明」を享受していなかったら…工業や農業、教育等のインフラができず、人口は今の半減くらいになり、国の姿は大きく変わっていただろう。
文明、文化、宗教、地政学等の勢力圏はわかりやすい区分だが、
東西冷戦終焉後のここ四半世紀以上、
わかりにくい経済面の影響が大きくなってきている。
見えやすい国の経済政策や、
国の外国資本(経済支援等)よりも、
見えにくい莫大な民間の国際金融資本が世界中で影響を拡大しており、
経済面で世界を区分することが今後は重要になっている。
ここ四半世紀以上、
新たな勢力として世界を席巻しているのは、
見えにくい民間レベルの国際的な経済支配勢力だ。
この無国籍的で不透明なグローバリゼーションの勢力は、
複雑で多様化し、背後に隠れやすい「お金」「取引」等の経済に特化している。
民間ベースのグローバリゼーション=新自由主義的な動きでは、
国と国の対立、
文明・文化等のアイデンティティーの対立状況が見えにくいが、
実際、裏で、または裏の裏で、
多くの紛争や世界恐慌等の経済戦争と深くからんでゆくのだろう。
【蛇足】
・韓国の大手企業(サムソン等)・大手銀行の多くに外国資本が参入(株主・投資等)しているように、多くの新興諸国に見えにくい現代的な経済植民地主義(グローバリゼーション)の手が回っている。
・世界最大の債務・負債国になっている中国経済の表だけでなく裏でも外国資本が相当介入しようとした可能性がある。この中国と関係を持ちたい外国資本勢力がアメリカ等の対中国の宥和政策を支えて、中国による南シナ海等の海洋進出を支えていたようだ。
しかし、中国は自国通貨「元」を武器に欧米の外国資本と連携しない中華主義によるわかりやすい独自の経済中心の植民地をつくりつつある。中国の新植民地主義は、かつての欧米の植民地主義とは異なって自国の人民を移民させることが目立つが、南シナ海の領海拡張など類似点はある。
かつて、
世界に示す日本のアイデンティティーは江戸時代は希薄だった。
19世紀後半から、
欧米の植民地主義による「日本」侵略の危機を想定するようになり、
明治時代以降、
国家「日本」として、「日本人」として、
徐々に客観的に国体、民族意識を認識してゆく。
その成果として、
アジアで唯一独立を維持して、
(タイもほぼ独立を維持でき、日本と同盟関係を持つことになる)
その後約半世紀で、
日本は欧米植民地列強諸国と肩を並べるようになり、
諸外国と並んだ途端に、
日本のアイデンティティーのバブルが始まった。
1940年代に客観的な視点、外交・交渉力を失ってバブル破裂寸前になり、
日米戦争に突入して、
敗戦でバブル崩壊した。
(当時、日米開戦による敗戦を想定していた方々、反戦論者は多かったが…
長年のアイデンティティー・バブルによる感情論がアメリカとの戦争を正当化してしまった。)
もし、
このアイデンティティーの過激なバブルがおきず、
また、
過激な欧米圧力による戦争によるバブル崩壊がなかったら、
「日本文明」は今よりも拡大していただろう。
日本のアイデンティティーは、
バブル&バブル崩壊後、
ここ70年以上、
バブル時よりは半分以上(主観的定量)縮小しつつある。
アイデンティティーの縮小によって、
諸文明圏との過激な対立はつくりにくくなり、
昔以上に友好関係を日本はつくることになるのだろう。
ただ、
多くの人々が関与する国同士の関係で、
100%の友好関係はないので、
リスクを普通に想定して、
最低限度のアイデンティティーを防衛しないと、
近年、弱体化しつつある日本は、
見えやすい他の勢力圏、
見えにくいグローバリゼーションに巻き込まれて
日本の「国民の生命・資産」を奪われ、
「日本文明」は消えて行くことになる。

