2012年以降の国内外の動向予測~有力国の政権転換集中 | あらやす日(本)誌

2012年以降の国内外の動向予測~有力国の政権転換集中

日本の上場企業の2012年度最終決算は、
前年比で増収増益企業が半数を超え、
最高益企業も約10%にのぼるようだ。
また、
2012年は大震災復興特需も本格化する。

2012年の日本の株式相場は、
これらのプラス要因を受けて、
順調に上昇でスタートする可能性があるが…。

しかし、
年中盤から後半、
国内では増税路線の確定と原発問題の継続等で、
沈滞ムードが再認識されて、
また、
国際政治はさらに不安定になってゆく可能性がある。

その意味で、
株式相場は年前半高、中盤~後半安か?

中国・インド・ブラジルなどの新興諸国の好景気が確認され、
EU問題とイラン問題というダブル「イ」問題が解決すれば、
龍のように大きく青天井に向かって上昇するかもしれないが…。

台湾では、
2012年1月14日、年始早々、総統選挙がある。
中国よりの国民党か?独立志向の民進党か?
世論は真二つに割れているが国民党が若干有利のようだ。

アメリカでは、
2012年11月に大統領選挙がある。
個人的な推測では、
民主党からの大統領選出は変わらないだろうが、
オバマ再選はならずにクリントン国務長官が大統領になると思う。

女性であるクリントン氏は、
英国のサッチャー政権のように強きの外交政策を取る可能性がある。

オバマ大統領は有終の美を飾ってクリントン政権への橋渡しするために、
さらに強気の外交に転換してゆくかもしれない。

日本のTPPへの参加要請もその一環だろう。

対中政策、英米協調での対EU政策、
特に核開発疑惑が深まったイラン制裁強化がもっとも気がかりな問題だ。

欧米諸国がイラン制裁を強化した場合は、
中東からの原油の主要な輸送路であるペルシャ湾のホルムズ海峡を封鎖すると、
イラン副大統領は言っている(2011/12/28)。

日本はイランから石油の約1割を輸入しており、
ホルムズ海峡は中東から日本への石油タンカーの9割が通過する要所だ。

もし、
2011年にチュニジアの民主革命を端緒にしたリビアの民主化が行なわれなかったら、
リビアのガタフィ政権はイランと連携して、
チュニジア・リビア沖にある地中海の要所であるシチリア海峡を封鎖したかもしれない。
その意味で、
中東のジャスミン革命は対イラン政策の布石とも言える構図だ。

欧米諸国のイラン制裁の強化により、
日本はイランからの石油が輸入できなくなる可能性が高く、
国内原発の再稼働を余儀なくされ、
エネルギー危機問題が出てくるだろう。

中国においては、
共産主義国として「富の再分配」=貧富の格差是正を行なう転換期にある。
しかし、
資本主義が生んだ富裕層が富の分配を拒否して、
国外に逃げ出すという非愛国的な危機的状況にもあり、
中華思想という国家主義をさらに強化してゆくだろう。

最高指導者である国家主席・胡錦濤氏の後継者として、
2013年に習金平氏になることが事実上確定している。
その意味で2012年は実質的に胡錦濤氏から習金平氏力への権力移行期だ。

習氏の父は文化大革命の被害者だったこともあり、比較的、リベラルな政治家だと言われている、
しかし、
習氏が中国共産党中央軍事委員会副主席に就任して中国の軍部=人民解放軍との関係が深くなってから、
中国はアメリカや日本との対決姿勢を強め始め、また、北朝鮮の核開発やミャンマーを批判しなくなった。
このことから、
さらに中国と同盟国の国益を重視する政策を行なってゆくのだろう。

アメリカ等のイラン制裁において、
中国が従来通りの路線でイラン側に立つことになれば、
中国と欧米の関係は悪化することになり、
「北朝鮮とイランの核を容認する中国」の存在が明確になり、
欧米・日本との対立軸が明確になってゆくだろう。

もし、中国がイランと欧米の間に入ってイラン問題を解決に導けば、
中国の国際的な評価は高まる可能性もある。

北朝鮮問題では、
3代目キム・ジョンウン氏への王位継承を、
中国だけでなくアメリカ、日本等も認めているので大きな問題にはならないだろう。

親日国インドは、
日本がより主体的に同盟関係を構築できる唯一の大国だ。

インドのマンモハン・シン首相(76)は、
一見、宗教家のような英知を感じる風貌だが、
英オックスフォード大で経済学の博士号を持つ経済学者出身の異色の政治家。
2009年にシン首相は再選を果たして2014年まで任期が続く安定政権だ。

インドと日本は自民党政権時代から経済と安全保障の両輪で関係を深めている。
2005年以降、日印両国は毎年、首相の相互訪問を続けており、
2111年12月、野田首相がインドを訪問して、両国の戦略的連携を確認したことで、
後退する日中関係の反作用もあって、さらに両国の関係は深まるだろう。
インド洋はインドと日本で安全を確保してゆく海域だと言えるかもしれない。


西欧の経済危機問題では、
2011年のギリシアの国家財政危機に端緒に、
英米とEU諸国との対立が際立ち、
英米の支援が得られずにEUの財務状態が悪化して、
EU解体の危機がさらに増す可能性がある。
しかし、
もし、EUが英米の主張に妥協して、金融業界の規制強化を断念すれば、
英米の金融支援が行なわれてEU危機は一気に沈静化する可能性もあるが、
英米自体、その金融支援で弱体化する可能性もある。

また、逆に、英米がEUの金融規制に同調すれば、
英米の金融業界は暴利をむさぼる自由の翼を失うのだろう。

6月にフランスの選挙があり、
EU内でのドイツとフランスの結束にひびが入る可能性がある。


ロシアでは、
2011年後半に長期のプーチン体制への批判が噴き出して、
ロシア全土で10万人を超えるデモ運動が起きた。
プーチン首相の側近のアレクセイ・クドリン前財務相もこのデモに参加し、
また、
ミハイル・ゴルバチョフ元大統領は、
辞任20周年を前にラジオのインタビューでプーチン氏に辞任を求めた(2011/12/25)。
3月の大統領選挙では、
プーチン体制の存続は困難になってゆくだろう。


新興諸国では、
好景気のツケとしてバブル崩壊の危機がある。
2011年後半、中国、ブラジルが金融緩和政策に舵を取ることを決めたので、
国内需要が喚起されてデカップリング論(新興国が先進国を救う)が再燃するだろう。
しかし、
こうした新興諸国の金融緩和は短期的には世界経済には大きなプラス面になるだろうが、
過剰な金融緩和=バブルの発生であり、
このバブルの崩壊時のダメージもさらに大きくなる。


さて日本は…
ダブル「イ」問題と世界の有力国の政権転換が集中する2012年は、
近年になく不安定な国際状況の年になる。

日本も長期にわたる安定的な自民党政権時代が終わり、
政治力の弱い民主党政権になっている。

さて、日本はいかに振る舞うか?

国内問題では、
原発事故収束の「工程表」よりも数段リアルで緻密な、
増税路線の「工程表」が出来上がるだろう。
これでムードとして景気後退が明らかになるかもしれない。

国際問題では、
イラン問題等の国際問題を解決しようとするマインドすらない。

国益を防衛しながら世界の平和に貢献するマインドがなければ、
当然、策は何も生まれない。

従来通り、
英米の流れに任せる葦のような成行き外交が来年も継続するのだろう。

親米政権の野田政権下で、
イラン制裁の強化では日本は欧米追従だろうから、
日本のエネルギー危機は深刻になり、
国内原発は再稼働し、
日中関係はさらに悪化する可能性がある。

日本の政治家が主体的な思考で国際政治に関与するばらば、
イラン問題を中国と共に日本が仲裁し(成功するかは別問題)、
EUに対しては日本が新興諸国と共に金融支援(10~30兆円くらいの規模か?)をすれば、
日本の国際的な評価が一気に高まるだろう。

しかし、
イラン仲裁はアメリカとの距離を置く鳩山氏や小沢氏ならば、
中国との連携で問題解決に乗り出せた可能性があっただろうが、
親米派の野田政権では到底無理な話だろう。

また、
野田政権の増税=「財政再建」路線は、
ある意味で、
海外への金融支援は困難だというシグナルでもあるので、
EUへの金融支援は財務省=政府の頭にはまったくないのだろう。

したがって、
泥の中で泥に任せるドジョウ政権下では、
従来通りの主体性なき外交が来年も継続するのだろう。

確かに、
戦後、田中角栄、小渕恵三、中川父子、鳩山邦夫、小沢一郎…と、
英米の国際戦略等の軌道からはずれて対立した日本の政権や有力者の運命は悲惨だ。

しかし、
英米や中国、欧米との摩擦を極力抑制=決定的な対立を回避しながら、
日本独自の古来からある礼儀を駆使できれば、
主体的に国益を維持拡大することは「夢」ではないと思う。


その夢が現代の平和的な「坂の上の雲」なのかもしれない。

明治から昭和期の坂の上の「一朶の雲」はアジアにそびえた一つのいただき、
ひとつの山の上にあった一塊の雲だろう。

しかし、
これから目指す山は山脈であり、
同じような標高の山々の連なりであり、
目指す雲も一朶の雲ではなく、
複数の折り重なるような複雑な形状の雲なのかもしれない。

あらやす日(本)誌~内なるアメーバを探して

                         ↑ヒマラヤ山脈

多くの国々には日本同様に目指すいただきとその上に雲がある。

日本だけが目指す一朶の雲を追う時代は、
もう相当昔に終わっているようだ。