ジョブズと禅の思想 | あらやす日(本)誌

ジョブズと禅の思想

10/5に死去したアップル社の創業者スティーブ・ジョブズには、
宗教的な師ともいえる禅僧(曹洞宗)の故・乙川弘文氏との交流があった。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%99%E5%B7%9D%E5%BC%98%E6%96%87

乙川氏はジョブズの結婚式を司り(仏式で結婚式を行った)、
アップルを追い出されたジョブズが創業したネクスト社の顧問にもなった。

ジョブズと禅との関係は長く、
ジョブズが体調を崩す以前から、
アップル創業当初の1980年代からささやかれていた話だった。

実際、ジョブズは1970年代から、
曹洞宗の禅僧の故・鈴木俊隆氏がつくった禅センターに通っていた。
乙川氏は鈴木氏に請われてアメリカに渡った禅僧だった。

個人的に思うに、
禅の大きな特徴は「自力」本願であり、
多くの仏教宗派が唱える仏・菩薩・聖者等の力に依存する「他力」本願とは異なる。

禅の典型的な行動は、
座禅をして、邪念を捨てて個人・自分自身に向き合うことであり、
今、自分が本当にやりたいことは何なのか?を問うことだと思う。

スティーブ・ジョブズは、
禅の思想を行動指針として日々実践していたようだ。

2005年にスタンフォード大学の卒業式で行ったジョブズのスピーチで言った、
”Stay Hungy, Stay Foolish”(貪欲に、そして、愚かであれ)

この言葉は、
今、自分が本当にやりたいことは何なのか?を自分に問うたときの、
誰にでもわかるようにかみ砕いた、
もっとも短い言葉での帰結、
単純化した答えだったのだと思う。

しかし、
その単純な言葉の奥には行動の結果として、
多くの所産が隠れていると思う。

それらの所産なくして、
”Stay Hungy, Stay Foolish”と言ったところで、
説得力はまったくない。

たとえば、
小生が”Stay Hungy, Stay Foolish”と言っても、
陳腐な言葉でしかない。


かつて、
小生が最初にアップルのマッキントッシュ(Mac Plus)のディスプレーを見たときに、
マッキントッシュの画面が「鏡」のように思えた。

鏡に映るのは自分自身。

目の前のその機械が偉大な知的兵器に見えた。

自分はこのアップルの機械を使って何をすべきなのか?

中古だったが当時の自分には高価な買い物だったので、
当然、目的が先にあってその機械を購入した。

活字を入力して、音や絵・動画を入れて、
全体をレイアウトをして、
1個の作品を作りあげたいと小生は思ったのだ。

個人の思いをデジタル上で自由に開花できる機械。

それが、
スティーブ・ジョブズのねらいだったと思う。

「マルチメディア」は、
アップルのマッキンットッシュと共に世の中に出てきた言葉であり、
一般市民レベルの創作活動で、
スティーブ・ジョブズが実現した偉大な概念だと思う。

アップル社のキャッチコピーにあった、
"Power to the people"(人々に力を)、

それは、
IBMやマイクロソフト社の企業向けの標語とは大きく異なり、
個人の思索や表現活動の自由を広げるという意味での標語だと思う。


エリック・クラプトン(Eric Clapton)の「Change the World」に、

And our love would rule
This kingdom we had made
Till then I'd be a fool
Wishing for the day

僕らの愛が治めるのさ
僕らが作ったこの王国を
それまでは僕は「道化師」でいるよ
その日を願いながら

という歌詞がある。

既定路線からはずれて進む、
「道化師」のような「愚かさ」=Foolishが、
これからも世界を変えてゆくのだろう。

 Eric Clapton & Babyface - Change the World



【参考】
故・乙川弘文氏をアメリカに招いた僧侶の故・鈴木俊隆は、アメリカに禅を広めた方で、鈴木氏の著書「Zen Mind, Beginner's Mind」は仏教書のアマゾンランキングで世界的なベストセラーになっている。

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巨星になったスティーブ・ジョブズ~ソニーへの憧れ
http://ameblo.jp/ararada/entry-11039928743.html