信用収縮しているのにマネーサプライを抑制? | あらやす日(本)誌

信用収縮しているのにマネーサプライを抑制?

政府・日銀はなぜ?
買われすぎの円=過剰評価されすぎている円を、
マネタリーベースとマネーサプライの供給増加等の金融政策で、
適正水準にもどさないのか?

世界の株価水準から適正な円と株価を想定すると、
円は90~100円超、
日経平均株価は世界標準で見れば12,000円~13,000円くらいが妥当な線だろう。
しかし、
異常な円高で日経平均は1万円を切っている。

これも勝手な水準だが、
今の株価・為替の水準も、
政府と株式会社・日銀の自分勝手な考えによるものだといわざるをえない。


マネタリーベースは、
一言でいえば、
中央銀行(日本銀行)通貨の総額。

このマネタリーベースを元(まさしくベース)にして、
民間銀行などへの貸し出しが行われて実際に世の中に出回るお金はその数倍になる。

平時では、
マネタリーベース×「数倍」=マネーサプライ

すなわち、
日銀が銀行に100円を貸し出すと、
銀行はそれを担保にしてその数倍を企業などに貸し出すという仕組みだ。

銀行への貸し出しが「数倍」になるというこの仕組みを、
経済学などでは「信用創造」とよんでいる。

サブプライム&リーマンショック前は、
「数倍」の信用創造があり、アメリカでは5倍以上になっていたが、
サブプライム&リーマンショック後は、
「信用収縮」で今ではアメリカは0.5倍まで低下しているともいわれている。

異常時の現代では、
マネタリーベース×「0.?倍」=マネーサプライ

サブプライム&リーマンショックによる信用収縮を回避すべく、
マネタリーベースをアメリカは2倍、EUは1.2倍に増やしているが、
日本は通例の増加ペースで微増しているにすぎない。

信用収縮を計算に入れれば、
ここ数年の日本のマネーサプライは前年比マイナスだったのではないだろうか。
これは明らかに政府・日銀の失策であり、
日本の景気回復の足かせになっている原因の一つだろう。

日銀・政府のこの金融政策の姿勢には批判は多く、
最近、やっとその重い腰を少しあげたこともあり、
今年のマネタリーベースはもう少し増えるだろうが、
なぜ、
日銀・政府は諸外国のようにマネタリーベースをすぐに増やせなかったのか?

一番大きな理由は、
驚くべきことに日本銀行が株式会社であり(市場:JASDAQ 8301)、
国益よりも「株式会社」としても財務の健全性を過剰に意識しているからだろう。

今上場している大手企業には200兆円を超えるキャッシュがあり、
投資をひかえる保守的な財務戦略による、
雇用削減や負債返済などのリストラで積み上がったキャッシュだ。
日銀の経営も似ている。

【蛇足】
日銀の株価は2006年、2008年に株価15,000円を超えたが今は約5000円、買い時か??。日銀は財務を良くして単に株価を上げたいだけなのか?従業員持ち株制度やストックオプションで株価を上げるような圧力があるのか?


たとえば、
日銀の財務方針のひとつに「銀行券ルール」がある。
「銀行券ルール」は、
銀行券残高(通貨発行総額)を長期国債残高以内に抑制するというもので、

2009年で見ると、
銀行券残高は約75兆円>長期国債残高は約45兆円

でこのルールは現時点でクリアできているが、
長期国債残高の余裕は約30兆円しかなく、
そろそろ国債発行も頭打ちだ。
とはいえ、
日銀が銀行券発行額を増やせば銀行券残高は高くなるのだから、
どうでもいいように見える。
しかし、
日銀は銀行券発行を抑制する企業風土があるようだ。

株式会社の財務戦略のようなこの種のルールがいくつもあったら、
それらは国家としての金融政策の大きな足かせとなり、
日銀の財務上の健全さを優先することで、
国の金融政策が二の次になるのは当然のことだ。

日銀総裁職が単なる一株式会社の社長では困る。
しかも、
株主総会もない株主不在の運営で、
財務だけは「株式会社」を理由にして政策の足かせにしている実態は矛盾そのものだ。
「株式会社」を理由に政策を決めるならば、
株主総会も定期的に開かなければ違法だ(日銀法には「株主総会」の規定はないが)。

なお、
日銀の資本金は1億円で、
政府と民間がほぼ半分ずつ出資しているが株主は未公表。

日本銀行は政府や民間銀行とも独立している、
よくわからない組織だ。

国の経済政策は主に財政政策と金融政策の二本立てだが、
今の日銀の「注視」主義では、
日本は有効な金融政策が迅速に打てない半人前の状態だ。
これで百年に一度とも言われる不況に立ち向かうのは困難だ。

1998年に日銀は、
日銀法抜本改正で政府からの「法的独立」をしたが、
国家の金融政策をになえる日本銀行になるようにさらに大改革が必要だ。

先の改正で悪法になったことを認識し、
早急に日銀法を再度抜本改正して、
政府の管理下に置いて機動的な意志決定と金融政策が行える体制にするべきだろう。

バブル崩壊を阻止できなかったことが、
政府管理下での日銀の失策だったと認識しているならば、
日銀に迅速な意志決定ができる指揮命令機関を設置すべきだろう。

今も日本銀行には政策委員会(最高意思決定機関)があり、
委員会は日銀総裁と2人の副総裁、6人の審議委員の計9名で構成されているが、
機能しているとは思えない。

ちなみに、
アメリカの連邦準備銀行は、
政府機関の連邦準備制度理事会が運営しているが、
アメリカ国内の個別金融機関が出資していて100%民間出資の銀行で民間銀行との強い連携がある。