いい夢はいつまでも見ていたい
だけど、覚める。
それは、夢だから。
夢は、覚めなきゃ。
彼は予想していただろう、ファンの夢が覚めることを。だから
もっと美しい世界を一緒に見よう、きっと見せると約束してた。
ファンの夢もさまざま。
実際にはほとんどのファンの夢は無傷のように見えるけれど、
覚めてしまったことに気づいたファンもいる。
長年集めたハニューグッズを、かけがえのない宝物だったものたちを売りに出している人たち。
こなごなに砕け散ったその夢の、破片が胸に突き刺さったままでなければいいのだけれど。
一生懸命に抜こうとしているのだろうな
覚めそうになってるのを一生懸命に戻ろうとしているファンもいる。
壊れちゃだめ、覚めちゃだめ、と胸の痛みに耐えている。
今日、新しい宇宙で星を見るよ、とつぶやいた人がいた。
一人でいい、と言った彼女の気持ちを何人がわかっただろうか。
一人で星を見続けるのを選んだ気持ちを。
私は、
私の夢見てた世界が失われ、
覚めた夢の名残にノスタルジーという名を与えていいものかと迷いながら、
彼が見せてくれるという世界が自分の度肝を抜くこと願っている、切実に。
私が見たいと願う新たな世界と、どこかの宇宙にひとりで立ってる彼女の星が、きっとつながってると思いたい。
狂乱の時代は終わった。
彼の一言が私にそう告げた。
それでよかった、
夢は、覚めなきゃ。
そして新しい夢が帰ってくるのを待っている。
「おかえりなさい、わたしのゆめ」
と言える日を、この古巣に帰って待っている。