飛行機が、苦手である。

いや、飛行機と言うより、高いところ全般が苦手である。

そんなわけで、飛行機に乗る際は、例えばビールなどを飲んでヘベレケになったりして、怖さを誤魔化している。

しかしこれにより、また別の問題が発生したりする。

トイレである。

ビールなどを飲むと、どうしてもトイレが近くなるものだが、飛行機の機内はトイレの自由が利かない。

これは時に、思わぬトラブルを発生させることがある。


先日のこと。

那覇から名古屋に戻る飛行機に乗る前、やはりワタシは酔っぱらっていた。

だいぶ飲んだおかげで、飛行機に乗る恐怖感はかなり薄らいでいた。

搭乗時間手前になり、最後にトイレに行って全てを出し切る。

全てを。

そしてそのまま搭乗ゲートをくぐり、飛行機の座席に座る。

次の瞬間。


・・・トイレいきたい。


ほんの数分前に行ったばかりなのに、ワタシは、もうトイレに行きたくなっている。

うーん。

これは、人体の不思議としか言いようがない。

一体ワタシのどこに、水分が残っているというのか?

意を決しCAさんに恐る恐る聞いてみると、にこやかな顔で「大丈夫ですよ」とのこと。

良かった。

で、なんとか用を足し、ギリで助かったわけなのである。


しかし。

人体の不思議とは分からないもので、席に戻ってものの数分で、再びワタシは思う。

・・・トイレいきたい。

機内では離陸準備が着実に進められ、忙しく動き回るCAさんからは、アテンションプリーズな感じがひしひしと伝わってくる。

うーん。

こんな雰囲気の中、再びトイレに行けるか?

離陸してベルト着用サインが消灯するまで、あと30分くらいだろうか?

果たして、我慢できるだろうか?

うーん。

嫌な汗が、ワタシの額ににじみ始める。


・・・いや、無理だ!

背に腹は代えられんッ!


と思い、立ち上がってトイレの方を向いたところ、そこには

鬼の形相

でトイレのドアの前に立ち塞がって仁王立ちするCAさんがおり、それを見たワタシは、黙って座席に座り直すしかないのであった。


すいませんでした。


おわり。