秋近しと雖も本業にては夏枯れ続くをよいことに(全くのところ良いハズはないのだが)、ここ数日、先の『吉良流折形』・最終項で言及した如く、折形に曲線を採り入れる試みを続けていた。以下はその作業報告である。
 
ここで参照したのは次の著書。
・『曲線折り紙デザイン 曲線で折るための7つの技法』(三谷純著、日本評論社)
・『デザイナーのための折りのテクニック 平面から立体へ』(ポール・ジャクソン著、文化出版局)、
・『<折り>の設計 ファッション、建築、デザインのためのプリーツテクニック』(ポール・ジャクソン著、BNN)
・『紙 基礎造形・芸術・デザイン』(朝倉直巳著、美術出版社)
 
 
当方、折り紙ぎょーかいには不案内である(折形についても、身の回りの資料の他に知るところなどありもせぬのだが)。既に先行事例が示されており、その権利を侵害していることどもあらばご一報願いたい。速やかに画像を削除する/注釈を付すなど、適切な対応を取る所存である。
また、類例については広く知られる状態での記録が遺っていない、あるいは明らかになっていないだけのことであり、過去に(あるいはまた現時点に於いても)試みた人物がいなかった/いないハズはないものとも思う。
以上併せ、今般試作品の掲示にあたっては相応に謙虚な姿勢でいるつもりではあるが、他者の権利に抵触せざることが確認された上、万が一ここでの提案を商業化する可能性に行き当たられたお方様におかれては是非、前以てのお声かけを願う次第である。
 
えーへへーぃ、しぃませうぞー、しませうぞ、山ぁ分けー、しませうぞーぃ m(_ _)m & \(^o^)/
 
 
以上2点は、最初に手掛けたもの。極めて単純な構えではあるが、美しさにおいてこれらを超えるものに出会うことは今後もあるまいと思う。”オモロイもん”は別として。
 
 
 
上がえの曲線、チト無理があったようだ。このあたりの感覚はさまざま試すことによって体得せねばならぬのだろう。
 
撮影時、上がえと下がえの重ね方を誤ってしまったようだが、面倒なので今はこのまま失礼を (^_^;)
 
これは賛助出演、ねっ!
 
凹凸により雌雄の対としてみた(実のところ、雌は単なる凹ではなく三日月形にしたかったのであるが叶わなかった)。
上(雄)は天地を逆に据え、正月向けの飾り物(吊しもん)に仕立てることが出来そうにも思う。
 
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さて、無論のこと、折形は直線による構成の美であることを私は否定しない。
しかし、不可欠ではないものの密接不可分の関係にある水引が、そこに曲線の美を添えることにより、折りの姿が一層映えることを勘案すれば(しばしば”ぶち壊し”に導くさまも見かけるのだが・・・)、折形自体に曲線を組み入れることも否定されるべきではあるまいとも思ってきた。
かぶせ折りを片身で施すが如き手法(”段折り”というのか?)は特段珍しいものではなく、私も以前拵えた雛飾りの敷紙やメガネの包みの処理などに採り入れてきたものであり、その楔(クサビ)の如く鋭く尖った三角形の折り込みによって四/五角形の面をチトばかり自由に扱い得るに至るさまはこれまでにも目にしてきていたのであるが、それを曲線導入にも利用できることに気付いたのはこの夏、吉良流の雛形を整理する過程においてようやくのことであった。
 
とは言うものの、平面の用紙に曲線を折り込むと自ずとその面は曲面となり立体的にならざるを得ない。ために、折形様の仕立てをなそうとすればそこに生ずる歪みをどこかに吸収せねばならぬのだが、装飾を施そうとする箇所において解放されているのは上がえであれ下がえであれ、末端に位置する頂点を挟む2辺のみであり、さほど融通の利く状態とはなり得ない(だろう、というのが現下の観察)。
もっとも、この度は装飾部分の折り出し箇所をすべて正方形にしていたのだが、ここは吉良流折形集の末尾・メガネの包みや附録-1の図に見るごとく五角形にて設けることもできようから、まだ少しく可能性を展げる余地はあろうことと思う(曲線導入の実例については作図が困難な箇所もあり現時点ではまだ展開図を作製できておらぬが、吉良流折形集の型紙末尾数点の附録を参照いただければおおよその見当はつけていただくことができよう)。
 
なお今般の例の如く、用紙の内側に位置する装飾箇所の頂点を露出させることなきように仕立てようとするなら、浮き上がろうとする曲面を別の襞によって覆い隠すべく成形する次第となる。とりわけ天地を折り返そうとするとき、その襞の圧力を弱めるためには、その場の事情に応じた適宜な調整が求められる(常の如く折ってしまうと装飾部分の曲面が平面に戻ってしまう)。このあたりにも、また別の工夫があるやもしれぬ。

一連の試作品の半数は先に某画像共有サイトに投げ入れてみたのだが、案の定などと申すに及ばず、見事なまでに反応は冷ややかなものであったようだ。このブログも大勢のお方様の目に触れることはなきものと信ずるが、もし興味を覚えられたなら、貴方もさまざまお試しになることをお勧めしようと思う。いささか大仰な物言いではあるが、人類が初めて眼にするカタチが自らの手によって生み出されるのだと思えば心沸き立つものがありはせぬか。
無論、紙を折る、単純作業である。「何時か、どこかで、誰かが既に見たものである可能性」をついには排除し得ぬであろうけれど。
 
申すまでもなく用紙には適否がある。ここで私が用いたのは強度を高めるためのドーサ処理を加えた(と思しき)奉書と表面にギラ刷りを施した鳥の子紙(多分、中厚ってところ?)であるが、折り重ねるに無理なく、しかも曲げ加工に耐え得るある程度の堅さも必要となる。手近なものでは百均で入手できる画用紙など一つの選択肢になろうかと思うが、試してはいない。
 

巷では「外から見ただけで、その中身が判るのが折形だ」と承る。そうした観点からは、ここに掲げたものどもは折形の埒の外にあるのみならず、むしろ積極的に、「これ、ナニ入ってんのか、当ててみてみてみぃ (^_-)」と問いかけてくるような仕草をして見せる。
よいではないか、それはそれで (^_^;)

と申しつつ、当方、古典・伝承を疎かにするつもりは毛頭ない。新たに得たオモチャは一旦棚に戻し、手許に預かっている雛形集の整理に立ち返ることとしよう。
 
 
(それにしたかて、よっぽどヒマみたいやねぇ・・・)
 
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追加2点、四隅の処理にもう一工夫あればとも思うが・・・。