○書評 18冊目 暗幕のゲルニカ
○原田マハ
○新潮社
○アートミステリー


「たゆたえども沈まず」「楽園のカンヴァス」が、面白かったので、今回はピカソに焦点を当てた物語に、手を伸ばしてみる。


○あらすじ


主人公、八神瑶子と、パブロ・ピカソの物語。2001年のニューヨークと、1937年のパリが舞台となっている。
瑶子は、M oMAのキュレーターで、ピカソを専門としている。2001年9月11日、アメリカは、ワールドトレードセンターが空爆され、2003年、イラクへの武力行使をパワー国務長官が発表した。問題となったのは、国連にあるゲルニカの複製画に、幕がかけられたことだった。瑶子とM o MAの職員は、今こそ反戦を主張する「ピカソの戦争展」を企画する。この企画に、ゲルニカを展示しようと動き出す。
1937年、ピカソは恋人のドラ・マールと共に、ゲルニカを作成していく。ピカソの故郷のゲルニカが、内戦のため空襲を受けた。ピカソは、「芸術は敵に立ち向かうための武器」と、スペインのフランコ政権と、ナチスドイツを批判する。
反戦と平和の象徴である、ゲルニカを巡る物語。


○書評 : 80点です。


二つの物語が、重なり合って進んでいく。「戦争に断固として反対する」というテーマが、ゲルニカという絵画を通して、描かれている。ピカソの話、第二次世界大戦下のパリの話、美術業界について知ることができる。


○こんな人におすすめ

⚫︎美術、特にピカソや、世界史に興味がある人。


○本音

⚫︎ピカソはすでに名声を得ていたので、ゴッホやルソーなど売れない芸術家よりも、感情移入しなかった。

⚫︎原田マハさんの、「たゆたえども沈まず」「楽園のカンヴァス」には、及ばなかった。

⚫︎美術の知識がついて、ためになった。


○文章の相性 ☆☆☆☆☆


○シナリオ、脚本メモ


ピカソの戦争展を、M o MAで絶対に実現させる、という欲望、目的を前に、数々の障害が立ちはだかる。
物語半ばに、「とっておきのアイデアがある」と言っておき、ラストで明らかになる構成。