令和5年11月22日に、令和5年度荒川区議会定例会11月会議の一般質問が行われました。

 

一般質問を行った斉藤邦子(さいとうくにこ)議員の質問「認知症対策について」と、それに対する福祉部長の答弁を記載します。

 

※ この記事の「」内に記載している発言は、音声を文字起こししたものです。不正確な部分がある恐れがあります。また、「」内の()は筆者注です。「」内の漢字やカタカナ、ひらがな等の使い分けは筆者の解釈によるものです。ご了承ください。

 

 

 

6:45~ 一般質問「認知症対策について」

23:10~ 福祉部長答弁

 

 

斉藤邦子(さいとうくにこ)議員 一般質問(2)「認知症対策について」

 

 

斉藤邦子(さいとうくにこ)議員(共産党)

 

 

「(前略)

 

第2は、成立した『共生社会の実現を推進するための認知症基本法』に基づいた認知症対策についてであります。

 

 

(認知症基本法の基本理念と高齢者プランについて)

基本理念は、大変素晴らしい。認知症への正しい知識と理解、対等な構成員として地域で自立した生活、意見表明や社会活動参加の機会の確保、個性と能力の十分な発揮、良質な保健・医療サービス及び福祉サービスの提供、家族をはじめ支援者への支援、教育、地域づくり、雇用、保健、医療、福祉などの総合的な取り組みをうたっています。

 

認知症の人は、2025年には65歳以上の5人に1人、荒川区で1万人と推計で、どの人にも無縁な問題ではありません。認知症の人が個性や尊厳を保障されて希望を持って暮らせる社会をどう作っていくのか、認知症の人や家族が暮らしやすい社会は、高齢者や障がい者はもちろん、子どもや子育て世代、全ての人たちにとって安全で優しい社会を作ることにつながります。

 

必要な対策については、認知症の人と家族の会がそれまでのアンケートや調査結果などから、2019年3月に詳細な要望書を政府に提出をしています。是非、荒川区の計画策定に生かしていただきたいと思います。

 

荒川区第9期高齢者プラン素案では、認知症に関する普及・啓発・予防・個別支援を重点に挙げ、基本計画の策定・早期発見・早期治療・徘徊対策事業の推進・『チームオレンジ』の推進を挙げています。保健・福祉の公的サービスの大幅な拡充、医療・保健・福祉の連携体制の構築、そして若年性認知症の人への就労や、子どもへの支援とコーディネーターの配置、地域で暮らせるようにグループホームや介護施設の計画的な増設など、基盤整備を進めることも必要です。基本理念をどう高齢者プランに具体化していくのか、お答えいただきたいと思います。

 

 

(要介護1・2の総合事業への移行による影響について)

政府は、要介護1・2を(介護予防・日常生活支援)総合事業に移行することは今回も見送り・継続となりましたが、総合事業へ移行し、サービスが縮小されると社会との交流も減り、認知症が進行し、重度化することにつながりかねません。また、利用料2割負担の拡大の対象は具体化されようとしています。負担が増えれば、サービス利用を抑えることになりかねません。要介護1・2の総合事業への移行や、利用料2割負担の拡大などは、早期発見・早期治療など、(高齢者)プランに盛り込もうとしている区の認知症対策に逆行すると考えますが、ご認識をお聞かせください。(後略)」

 

 

 

福祉部長 答弁

 

 

「(前略)

 

(認知症基本法の基本理念と高齢者プランについて)

次に、認知症基本法の基本理念を高齢者プランに盛り込むことに関するご質問にお答えいたします。

 

今年6月に制定された認知症基本法におきましては、基本理念と基本的施策を踏まえて、区には努力義務として、今後作成される国及び都の基本計画を基本として、区の実情に即した認知症施策推進計画を作成することとなっております。現在策定中の『第9期(荒川区)高齢者プラン』におきましては、認知症基本法や認知症(施策推進)大綱の理念に基づき、計画を検討しております。

 

具体的には、認知症に関する普及・啓発・予防・個別支援を重点事業と位置付け、早期発見や早期治療の事業として物忘れ相談や初期集中支援チームなどの医師が関与していただく取り組みのほか、『チームオレンジ』を新たに立ち上げ、地域の数多くの住民や機関が認知症の方やそのご家族へ早くから関わっていける環境整備に努めていくことを考えております。

 

区といたしましては、国や都が今後策定する計画や施策を確認しながら、区の実情に沿った認知症施策を総合的に検討してまいります。

 

 

(要介護1・2の総合事業への移行による影響について)

最後に、国の介護保険法の改正が区の認知症対策に及ぼす影響に関するご質問にお答えいたします。

 

現在予定されている制度の見直しは、今後の持続可能な介護保険制度の運営に必要なものであると認識しております。

 

一方で、介護サービスを利用される方に与える影響も想定されることから、区といたしましては、国の議論の動向を注視してまいりますとともに、1人でも多くの方の認知症の早期発見・早期治療につながるよう、認知症基本法に基づく各種取り組みを総合的に推進してまいります。」