令和5年11月22日に、令和5年度荒川区議会定例会11月会議の一般質問が行われました。

 

一般質問を行った若林由季(わかばやしゆき)議員の質問「健康増進策について」と、それに対する健康推進担当部長の答弁を記載します。

 

※ この記事の「」内に記載している発言は、音声を文字起こししたものです。不正確な部分がある恐れがあります。また、「」内の()は筆者注です。「」内の漢字やカタカナ、ひらがな等の使い分けは筆者の解釈によるものです。ご了承ください。

 

 

 

32:45~ 一般質問「健康増進策について」

54:50~ 健康推進担当部長答弁

 

 

若林由季(わかばやしゆき)議員 一般質問(7)「健康増進策について」

 

 

若林由季(わかばやしゆき)議員(自民党・次世代)

 

 

「(前略)

 

本日の最後の質問項目であります、健康増進策について質問させていただきます。

 

 

(生活習慣病について)

3年に及ぶ新型コロナウイルス感染症の影響で、生活習慣病のリスクが高まったと指摘されています。生活習慣病は糖尿病や高血圧が代表的であり、病気を放置することで重症化のリスクが高まります。しかしながら、初期は自覚症状が無く、健康診断で指摘されたとしても放置してしまったり、治療を中断してしまうことがあります。

 

 

(歯周病と糖尿病の関係について)

生活習慣病の予防は常日頃から健康的な生活を送ることが重要で、運動や食事については気をつけている方も多いと思いますが、最近の新聞で歯周病と糖尿病は互いに影響を及ぼすとの研究結果を目にいたしました。6千人を5年間追跡した研究で、歯周病の発生率は糖尿病患者では千人あたり171.8人であり、糖尿病でない人の1.6倍で、糖尿病と高血糖の状態が続くと免疫力が低下して、感染症である歯周病にかかりやすいとされています。一方、歯周病の炎症が血糖値を下げるインスリンの働きを鈍らせ、糖尿病を悪化させることも分かっており、口の中の状態が改善されると血糖値が下がるという報告もされています。このほかにも、歯磨きなどを徹底し口の中の細菌数を減らすと、風邪やインフルエンザ、新型コロナや誤嚥性肺炎の予防にも効果があるという報道がありました。

 

 

(若年層への歯科健診の拡大について)

我が党では、これまでも明戸議員をはじめ多くの議員から歯と口の健康は重要であるとの質疑を行い、若い層への健康診断、歯科の健康の拡大について要望を行ってまいりました。9月の本会議では、『区は健康増進計画の改定作業を進めており、生活習慣病全般に関係する対策を強化する』というご答弁をいだいておりますが、生活習慣病予防や感染症予防に効果的とされる歯の健康について『健康増進計画』でも取り上げ、若い世代への健診の拡大など、積極的に事業を推進する必要があると思いますが、区の見解をお伺いいたします。

 

 

 

次に、小児インフルエンザワクチンの助成金対象の拡大について質問いたします。

 

 

(基本的な感染症対策の周知について)

今年は、インフルエンザが過去に無く早い時期から流行をし、急いで予防接種を受けに行かれた方も少なくないかと思います。インフルエンザの流行は例年3月頃までと言われておりますので、新型コロナウイルス感染症が5類に移行となったことで少し緩んだ感染症対策の帯を締め直し、新型コロナとインフルエンザの同時流行を抑制するためにも、まずは手洗い・うがいなど感染対策が有効であることを啓発して欲しいと思います。

 

 

(小児インフルエンザワクチン助成の対象者拡大について)

一方では、ワクチン接種は重症化しないためにもとても重要なことです。荒川区では、令和4年10月1日から生後6ヶ月から小学校就学前の慢性疾患や障がいのある子どもに対して、インフルエンザ予防接種費用の一部助成を開始していただきました。しかしながら、全ての子どもに対する助成には至っておりません。助成対象になっていない子どもたちは全額負担となり、子どものいる家庭にとっては大きな経済的負担となっております。

 

23区においては半数以上の区で、13歳未満の子どもに対するインフルエンザ予防接種の費用の助成を行っております。区内のとある病院では、隣の区が子どもに対するインフルエンザワクチンの助成を行っているので、荒川区でも行っていると勘違いをし、がっかりする親子連れの姿を医師が見て大変心苦しかったと聞いております。

 

ワクチン接種は、子どものインフルエンザの重症化から守るための有効な対策の1つであることから、住んでいる場所に関わらず平等に公費で助成がされ、接種の機会が持てるような環境になる必要があると思います。子どもに対するインフルエンザワクチンは、生後6ヶ月以上で12歳までが2回の接種が必要となります。子どもたちの健康を守る親のためらいや期待に寄り添い、支援していただく必要があるのではないでしょうか。

 

我が自民党では、子どもに対するインフルエンザワクチンの助成金を国や都へ要望する意見書を提出しておりますが、区としても同様に国や都へ要望していただけないでしょうか。

 

荒川区民の健康を守るために、子どものインフルエンザ助成金対象の拡大を強く要望いたしますが、区の見解をお伺いいたします。

 

 

以上をもちまして、私の質問を終わらさせていただきます。ご答弁よろしくお願いいたします。」

 

 

 

健康推進担当部長 答弁

 

 

「初めに、成人の歯科健診の対象年齢の拡大に関するご質問にお答えいたします。

 

 

(生活習慣病等の予防施策について)

これまで区では、生活習慣病や感染症予防も含め、健康で質の高い生活を営む上で歯と口の健康は重要であるとの考えから、口腔保健講演会、糖尿病講演会、区報や健康習慣の展示などにおいて情報提供を行うとともに、学校歯科健診・成人歯科健診などを実施してまいりました。特に今年度は、定期的な健診の受診勧奨を行うことに加えて、糖尿病と歯の健康について着目し、『糖尿病連携手帳』を活用するためのポスターを作成し、医師会・歯科医師会との共同による普及・啓発に努めているところでございます。

 

 

(『荒川区健康増進計画』の改定について)

また、現在改定作業を進めている『荒川区健康増進計画』の現計画の評価において、12歳から60歳までの間に歯の状況が悪化していることが判明しており、次期計画ではその対策の1つとして、各年代において歯科健診を定期的に受けるきっかけづくりを盛り込んでおります。具体的には、20歳・25歳・30歳・35歳の健診を新たに開始し、かかりつけ歯科医での定期健診のきっかけをつくり、歯周病の早期発見と重症化予防に取り組みたいと考えております。

 

 

区といたしましては、今後も荒川区歯科医師会をはじめ関係機関と連携しながら、区民の口腔ケアに関するリテラシーの向上に努めてまいります。

 

 

 

次に、小児のインフルエンザワクチン助成の支給対象者の拡大に関するご質問にお答えいたします。

 

 

(小児インフルエンザワクチン助成の対象者拡大について)

区ではこれまで、小児のインフルエンザワクチンの助成について定期接種化されていない現状を踏まえつつ、小児に対するワクチンの効果や流行状況等を見据え、検討を行ってまいりました。

 

昨年度、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行の恐れが高まったことから、重症化リスクの高い慢性疾患や障がいを有する区内在住の生後6ヶ月以上就学前までの小児を対象に、接種費用の一部助成を開始いたしました。その後本年3月、注射によらない新たな軽微弱毒生インフルエンザワクチンが国内で初めて承認され、来年度に発売される予定になったことや、昨今の物価高においてワクチンの接種費用が子どものいるご家庭にとって大きな経済的負担となりやすいこと、23区の小児に対するインフルエンザワクチンの助成が拡大していること、さらに社会全体で子育て支援の充実を図るよう取り組んでいる状況などを総合的に判断して、来年度小児の助成対象範囲を拡大したいと考えております。今後は医師会と協議を行うとともに、対象者の年齢や助成額、助成方法などの検討を行ってまいります。

 

あわせて小児インフルエンザワクチンの助成を実施する自治体へ財政支援を行うよう、国や都に要望してまいります。

 

 

(基本的な感染症対策の周知について)

また、インフルエンザの感染予防の基本である適時・適切な手洗いや室内の加湿や換気、健康管理とともに、混雑する場所を避け、咳などの症状がある場合は他の人への感染を防ぐためマスク着用などの咳エチケットを行うなど、感染対策の実施について引き続き周知を行ってまいります。

 

 

区といたしましては、区民が子どもを安心して育てることが出来るよう、予防接種の支援を含め、感染予防対策に取り組んでまいります。」